2011 Fiscal Year Annual Research Report
歩行者事故における胸部傷害発生メカニズム解明のための生体力学的研究
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22560101
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Research Institution | National Traffic Safety and Environment Laboratory |
Principal Investigator |
松井 靖浩 独立行政法人交通安全環境研究所, 自動車安全研究領域, 主席研究員 (00426230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 幸治 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (80335075)
一杉 正仁 獨協医科大学, 法医学教室, 准教授 (90328352)
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Keywords | 生体力学 / インパクトバイオメカニクス / 交通事故 |
Research Abstract |
本研究の目的は,歩行者が車両に衝突した際の歩行者胸部の傷害が発生するメカニズムを解明し,車両における歩行者胸部保護試験手法を提案することである.ここでは車両と歩行者の衝突状況について,有限要素モデルを用いて調査した.車両モデルは普通乗用車,軽乗用車,1Box車とした.歩行者側のモデルは全身歩行者(日本人男性50歳代を模擬),大腿部インパクタ,頭部インパクタとし,歩行者の胸部が衝突する位置に大腿部インパクタ,頭部インパクタをそれぞれ衝撃させた. 各車両モデルが全身歩行者モデルへ衝突した場合,普通乗用車や軽乗用車のようなボンネット車では,胸部がボンネットパネルに衝突中に下肢と腰部が上方回転することで,胸部に加わる負荷が緩和された.特に軽乗用車では,肩関節がウィンドシールドに衝突し,肋骨骨折の危険性が小さい.一方,1Box車との衝突時は歩行者上体の回転が小さく,ウィンドシールドフレームの局所的な高剛性部位と接触することで肋骨変形量が大きくなることが判明した. さらに,全身歩行者モデルと大腿部インパクタモデルを比較した.大腿部インパクタの荷重値は,車体全体の剛性を表していた.特に1Box車はボンネット車よりも荷重値が大きく,1Box車の高い胸部傷害リスクに対応していた.1Box車体の各部位に接触した肋骨の変形量と,その車体部位に対する頭部インパクタの加速度には相関がみられた. このように,これまで交通外傷の分野で不明であった歩行者の胸部傷害発生メカニズムが明らかとなった.また,胸部の評価については全体と局所の両剛性を評価する必要があると考えられ,大腿部インパクタと頭部インパクタがこれらの評価に有用である可能性のあることが判明した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体について当初の予定どおり実施できている.
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Strategy for Future Research Activity |
全国交通事故統計を用いて歩行者事故による胸部傷害の発生頻度を車体形状別にまとめ,胸部傷害の発生状況を把握する.また,車体形状別の歩行者の挙動を把握するためにマルチボディシミュレーションを実施する.
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Research Products
(2 results)