2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高アスペクト比垂直配向カーボンのチューブの合成とその樹脂基複合材料への適用
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22560105
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
安原 鋭幸 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (70282829)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 複合材料 / 垂直配向合成 / 繊維配向制御 / 機械的特性 |
Research Abstract |
プラズマCVD法による垂直配向CNTの合成実験を行い,合成温度,圧力などの諸条件を変化させ,各条件が合成されるCNTの特性にどのような影響を及ぼすかについて考察した.合成されたCNTはSEM観察及びラマン分光分析により評価した.ラマン分光分析ではCNTを構成する炭素の結合状態を調べることでCNTの品質が評価した.合成されるCNTの品質が高いほど最終的に得られる繊維長も大きくなるという傾向が見られた。今回の実験では初期条件であるアセチレン流量1.5sccmにおいて10mm程度の短いCNTが合成でき,CNT品質を向上させるためアセチレン流量を0.8sccmにするなどの検討を行った結果,比較的繊維長の長いCNTを合成することができた. 次に高配向CNT複合材料の試作従来の研究における樹脂基CNT複合材料の作製の際には,合成したCNTを有機溶媒中に超音波を用いて分散させた後にPC中に添加して混練を行っているが,この製法ではある程度以上の高い配向性が得られない.そこでCVD法によって合成されるCNTが基板に垂直配向した状態で得られることに着目し,基板から剥離したCNTの束を円柱側面で押しつぶしてプリフォームと呼ばれる形状に成形することで,あらかじめ高い配向性を持たせた状態で混練を行った.なお、よりアスペクト比の高いCNTでの検討を試みるため熱CVD法により合成された繊維長約15~1.8mm(直径40nm)の長尺CNTを用いた.作製した複合材料を引張試験片形状に切り出して引張試験を行った.CNTを4.0wt%添加したサンプルはCNT無添加のPCに対して引張強度が約30%向上した.同量のCNTを用いて先行研究と同様の製法で作製したサンプルに対しても引張強度が約20%高い結果となり,本研究で提案した複合材料の製法の優位性が示された.また,作製した複合材料を加熱して樹脂を蒸発させた後にSEM観察を行った画像より,混練後も多くのCNTが配向性を保っていることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CNTの表面処理を行ってCNTと樹脂の界面の強度を調べる予定であったが,真空チャンバーのリークが発生してその対応に2ヶ月ほど費やしてしまったため,検討することができなかった.24年度に行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
樹脂基CNT複合材料の高機能化は,(1)CNT単体の品質,(2)樹脂とCNT界面の密着力,(3)樹脂中での配向制御が全て揃って始めて達成されると考えられる.現在,それらを個々に検討している段階であるが本年度は全てをまとめて検討する予定である.
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Research Products
(2 results)