2011 Fiscal Year Annual Research Report
プレス成形性と強度・剛性を考慮した軽量多孔質積層板最適設計技術の開発
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22560112
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日野 隆太郎 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10283160)
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Keywords | 成形加工 / 成形プロセス最適化 |
Research Abstract |
前年度に引き続き,小さな円孔を規則的に配列(正三角形格子配列または正方形格子配列)した多孔質板をコア層とし,その両面に薄いスキン層を拡散接合した3層構造の軽量積層板である多孔質積層板(素材:純銅板)について等塑性仕事曲面や成形限界線図(FLD)の調査を行った.今年度はコア層の孔の配列パターンや孔サイズがこれらの諸特性に及ぼす影響について注目した考察を行った. 多孔質積層板の成形限界は(通常の単一板とは異なり)等二軸引張りにおいて最も低く,単軸引張りにおいて最も高くなる傾向が見られた.また,当然ながら多孔質積層板の成形限界は素材の単一板よりも低くなったが,多孔質板コア層のみの成形限界よりは高くなった. 多孔質積層板の成形限界はコア層の孔サイズが大きいものほど低くなった.また,コア層の孔を正方格子状に配列した場合と正三角形格子状に配列した場合を比較すると,空孔率が互いに等しければ多孔質積層板の成形限界もほぼ同程度になることがわかった.以上のことから,多孔質積層板の成形限界に影響を及ぼす支配的因子は空孔率であり,孔の配列パターンの影響は比較的小さいものと考えられる. また,FEM解析により多孔質積層板および多孔質板コア層の成形限界におけるひずみ分布や破断亀裂の発生について検討を行った.多孔質板コア層のみの変形では孔の配列パターンに応じた顕著なひずみ集中が見られたが,これにスキン層を積層した多孔質積層版ではひずみ集中が緩和され,このことが成形限界向上に寄与している.多孔質積層板の孔部スキン層に非常に大きなひずみが発生しており,孔部スキン層の断裂が全体の成形限界を律している可能性が高い.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
多孔質積層板の拡散接合の品質が安定しないこと,薄いスキン層の成形限界が低くなることにより実験結果のばらつきが大きくなり,予想した多孔質積層板の特性が得られていない.また多孔質積層板の等塑性仕事曲面取得実験におけるマクロ応力・マクロひずみの評価が困難で,等塑性仕事曲面の正確な測定に困難をきたしている.
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Strategy for Future Research Activity |
上記項目11.の問題点から,今後はFEM解析による検討に中心を移し,コア層の孔の配列パターンや孔サイズが等塑性仕事曲面や成形限界線図に及ぼす影響を考察し,所望の材料特性を得るための最適孔配列設計を行うことを試みる.
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