2011 Fiscal Year Annual Research Report
WC-Co合金工具のリユースのためのダイヤモンド膜除去技術の開発
Project/Area Number |
22560119
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 貞雄 日本工業大学, 工学部, 教授 (90216846)
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Keywords | 材料加工・処理 / プラズマ処理 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
新型の航空機における構造部材へのカーボンファイバーの使用率は50%以上を占め、大量生産が開始されつつある。カーボンファイバーの加工にはダイヤモンドコーテッド工具(ドリル・エンドミル)が不可欠であり、基材には超硬合金(WC-Co合金)が用いられる。超硬合金は高価であるというコスト面での制限だけでなく、戦略元素であるタングステン、コバルトから構成されており、代替えできる素材は今のところ存在しない。本提案技術は、使用後のダイヤモンドコーテッド工具を対象に、効率的にダイヤモンド膜の除去を行う大気圧プラズマ処理技術を確立し、再生コーティングにより基材のリユースを実現し生産コストの低減のみならず戦略元素の有効利用を実現するものである。 初年度は手持ちのマイクロ波発信器をベースに大気圧プラズマ発生トーチを試作して、ダイヤモンド膜のエッチングが可能であることを確認した。ただし、プラズマ密度が高いためにトーチの発熱が大きく耐熱性に問題があることが明らかとなった。今年度は、高いマイクロ波出力による大気圧プラズマを長時間にわたり安定して発生できる水冷方式のトーチを製作し改良を加えた。また、プラズマ発生のトリガーとなるアンテナの設置場所、大きさ等についても最適化を進め再現性の向上を図った。ダイヤモンド膜への照射実験については、Arガスをベースとして水素、酸素の添加を試みた。具体的なダイヤモンドのエッチングに関して、酸素と水素の添加が効果的であることを確認した。さらに発光スペクトルの測定を行い、それぞれの添加ガスに由来する発光ピーク強度の増大に伴いダイヤモンド膜のエッチング効果が増大することを確認した。最終ステップである効率的なダイヤモンドエッチング条件の確立のための準備が整った事を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大気圧プラズマトーチを自作し、高密度プラズマを安定して長時間維持できることを確認した。さらに、Arガスをベースに酸素、水素を添加することでダイヤモンド膜のエッチングが可能であることを確認した。また、発光スペクトルより酸素、水素に起因する発光強度とダイヤモンド膜のエッチング効果に強い相関関係があることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
ダイヤモンドを効率的にエッチングできるプラズマ条件を確立する。また、プラズマトーチを走査することでエッチング領域を点から、線にさらに面にと拡大していく予定である。あわせて、エッチングだけでなく、ダイヤモンド表面の平滑化(研磨)の可能性についても検討を行い、メカニカルな研磨と組み合わせることで、研磨技術としての発展の可能性を探る予定である。
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