2011 Fiscal Year Annual Research Report
CWレーザー誘起ナノトレンチ構造の“かたち"機能を用いた表面改質
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22560131
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Research Institution | Kanagawa Industrial Technology Center |
Principal Investigator |
金子 智 神奈川県産業技術センター, 主任研究員 (40426359)
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Keywords | ナノ周期構造 / レーザー加工 / 高速スキャン / CWレーザ |
Research Abstract |
YAGレーザーを用いたシリコン基板上への照射実験では、ナノ微細構造の成長が確認された。最近、活発に報告されているレーザー照射によるナノ微細構造はフェムト秒レーザーを使った加工方法である。フェムト秒レーザーとは異なり、本研究は汎用なYAGによる加工であり、更に、被加工物への照射には精密な位置制御を必要としない。簡易な試料ステージでの加工が可能であり、パソコンの冷却用ファンで試料を回転させただけでも、ナノ微細構造が成長した。この構造からは白色光による構造色が観察され、このことは平成23年4月27日付け日刊工業新聞の一面にカラー写真入りで報道された。ナノ微細加工によるかたち機能として、構造色による着色に加え、擬水性の評価を行った。微細構造は材料の表面エネルギーに影響し、表面の擾水性が変化する。シリコン基板上での擾水性を液滴法で評価したところ、微細構造により撥水性は数十度変化していることが確認された。 可視光から遠赤外線レーザーを用いたナノ微細構造の成長は確認している。本年度は更に、ガラスなど透明性材料への加工が期待できる紫外線を用いた実験を行った。可視光のレーザー強度(数十W/cm2)に比べ、強度が非常に弱い(1W/cm2)紫外線を用いたが、数分の照射により数ミリのスポットの周辺部にナノ微細構造が確認できた。試料ホルダーとしてXYステージを導入してレーザー照射の最適化を行えば、数十秒の照射による加工が可能になると期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は赤外線と紫外性の同軸での照射を考えていたが、試料台などを含めた光学系が大型になり導入が遅れていた。低強度の紫外線だけでも構造が成長する可能性を見出したため、小型の試料ステージを導入することにした。
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Strategy for Future Research Activity |
紫外線レーザーを用いることでガラスなどの透明性材料にも応用可能なシステムの構築を目指す。また、昨年度の発表において、シリコンとゲルマニウムとの溶融の類似性を指摘されている。成長過程の解明のため、ゲルマニウムを含む材料での微細加工を試みると同時に、有限要素法での熱伝導シミュレーションとの比較検討を行う。
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Research Products
(7 results)