2011 Fiscal Year Annual Research Report
小型2ストロークアルコール機関のデポジット生成に関するバイオ系潤滑油の挙動
Project/Area Number |
22560133
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
藤田 尚毅 岩手大学, 工学部, 教授 (40048830)
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Keywords | 環境対応 / 機械要素 / 内燃機関 / 2ストローク / トライボロジー / 代替燃料 / 燃焼堆積物 |
Research Abstract |
小型2ストローク(2ST)機関について、燃料にガソリンとアルコールの混合燃料を用い、潤滑油としてバイオ系のものを用いる場合の機関性能に関して、運転により生成するデポジットとトライボロジーに及ぼす影響を調べることを目的に、実験を中心とする研究を遂行してきた。 2ST機関は機構上、吸排気弁を有さず、シリンダ壁面に設けられた掃気口、排気口を通してガス交換を行っており、燃料に潤滑油を混合して潤滑する方法が行われている。このために、燃焼室デポジット(CCD)と排気煙が4ストローク機関と比べて非常に多いという特質を有する。生成したCCDが排気組成を悪化させたり、シリンダ摺動特性を悪化させ触媒汚損を生じる。また、アルコール燃料は潤滑油との相溶性が低いのでこれも潤滑特性に影響を与える。本研究ではこの潤滑油のシリンダ内での挙動を推測するために意図的にCCDを堆積させるという手法をとった。これによりピストン上面の潤滑油の流れを可視化でき、アルコール燃料での潤滑油の流れ様相を明らかにし、シリンダー・ピストンのトライボロジー特性への影響を調べることを目的として実験を行った。 小型2ST機関においてピストン上面に多数の小穴(ディンプル)を設け、そこに滞留した潤滑油が再流出する際にデポジット化して流脈模様(CCDS)を形成する過程について調べた。また、ガソリンとアルコール混合燃料による運転および排気特性を調べた。トライボロジーの観点からは、シリンダおよびピストンの表面における摩擦進行の状況を観察し、その面機能と焼き付きに至るスカッフィングの発生について検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前項の研究実績の概要で示された内容について、逐次簡潔なまとめを行い、学術講演会で、4件の発表を行った。すなわち本研究課題に沿った内容を、燃焼室デポジットの生成、アルコール混合燃料の種類、燃料供給方法および潤滑油のシリンダとピストントライボロジーに及ぼす影響の4項目にそれぞれまとめて講演に至ったもので、このことにより区分(2)と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
今までの研究より、シリンダやピストン側面で発生するスカッフィングには燃焼室デポジットの寄与する部分があることが判明した。そこで、2種類の模擬試験装置により潤滑油の劣化特性と、シリンダトライボロジについて調べる。ひとつは流動駆動力を重力により与えるため加熱傾斜平板上において潤滑油を滴下供給する。これによりシリンダ内潤滑油の流動劣化状況を模擬しそのデポジット生成特性を調べる。もうひとつは、エンジンをモーターリングにより駆動し、運転パラメータを個別に変化させて摩耗進行状況に及ぼす影響を調べる。これらの結果から、模擬実験と実機運転との関連づけを行い、小型2ストロークアルコール機関における潤滑油の挙動と実機運転時の最適供給量について探求する。
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Research Products
(4 results)