2011 Fiscal Year Annual Research Report
RF-MEMSスイッチ接点電極材料へのカーボンナノチューブ薄膜の適用
Project/Area Number |
22560142
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木之下 博 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 准教授 (50362760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯野 吉正 神戸大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20257819)
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Keywords | RF MEMS / カーボンナノチューブ薄膜 / 接触抵抗 / 凝着力 / 接点電極 |
Research Abstract |
IT無線機器の小型化は利便性や高機能化,省手ネルギーから急務となっており,そのなかでもRF MEMSスイッチは半導体スイッチより優れたポテンシャルのために,精力的に開発されている.しかしながら,その接点電極は低荷重,低面積でありながらゼロに近い抵抗値と高い寿命が求められている.本研究では,RF MEMSスイッチの接点電極としてカーボンナノチューブ(CNT)薄膜を適用することを目的としている. 前年度,転写CNT薄膜を用いて,カンチレバー-CNT薄膜間距離と荷重、接触電気抵抗の関係を測定した.その結果、ON-OFF動作を妨げる凝着力は測定されなかったが,最小の接触電気抵抗は約700Ωであった.この高電気抵抗はCNT薄膜の表面に金を蒸着することで,減少できることが明らかとなった. そのため今年度は,金蒸着による接触電気抵抗値の減少と,実用化を目指したMEMSプロセスによるCNT電極の開発,さらにON-OFFの耐久試験を行った.新しいMEMSプロセスによるCNT薄膜電極では電極の間に溝を設けて,その間は電気的に絶縁するようにしている.そして,ON時には金を蒸着したカンチレバーをこの溝の上を橋渡しするように接触させて通電させ,OFF時にはカンチレバーを非接触の状態にする.このような構成にすることで,実際の量産でのMEMSプロセスを安易に行えるようにした.その結果,金のみあるいはCNT薄膜のみの電極よりも,金を蒸着したCNT薄膜電極で低抵抗と高寿命が実現された.しかしながら,抵抗値がまだ数Ω程度あり,原因として橋渡しするカンチレバー側の接触時のジオメトリーが問題であることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定のマイクロニュートンレベルで荷重と凝着力,接触抵抗,ON-OFF耐久を測定できる装置を開発し,CNT薄膜のRF-MEMSの電極材料としての性質を測定することができた.さらにMEMSプロセスを用いてRF MEMS電極形状に適化したCNT薄膜電極の作製も完了し,当初計画通りに研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
CNT薄膜と金属の直接接触では,十分に接触抵抗を低下させることが困難なことが明らかとなった.その対策としてCNT薄膜に金などの良導電性材料をオーバーコートさせることで,接触抵抗を低下できることが分かった.今後はロジウムなどの低接触抵抗性と耐久性とを兼ね備えた材料をコートして実験を行う.さらに接触抵抗をいっそう低下させるために,カンチレバーの形状や接触時のジオメトリーの改良を行う.
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