Research Abstract |
本研究では,線経が10μm以下の超極細ワイヤーを用いて,極小のマイクロ機械要素と,これらを組み合わせたマイクロ機械システムの試作を試みる。併せて,試作したマイクロ機械要素とその機械システムが機構学的に成立すること,それらマイクロ機械要素の製造法を確立し,実用として活用できること,を理論的・実験的に明らかすることを研究の目的とした. H22年度は,マイクねじとマイクロナットの試作を行った.研究では,線径が10μmの金メッキタングステン線を2本1組として,直径が0.3mmでニッケル下地金メッキを施したピンに密着して巻き付け,ワイヤーをピンに接合した後,1本のワイヤーを取り去ることで,ピッチ20μmのマイクロねじおよびマイクロナットを試作することを目標とした.そして,密着巻きしたワイヤーとピンの間の狭窄部に浸透してワイヤーとピンを強く接合できる様々な接合材を試行し,線経が20μmの金メッキ・モリブデン線を用い,これを直径0.5mmのニッケル下地金メッキを施した真鍮ピンに巻き付け,接合材として熔融時に粘性の低い銅系の鉛フリー半田を使用し,また,半田の毛管現象を利用することで,ワイヤーをピンに接合したピッチ40μmのマイクロねじを試作できた.また,マイクロねじとナットが最適に嵌り合う理論ねじ山形を導き,ナットを製作する時に使用する巻き付けピンの直径を定める式を導出した.そして,上述のマイクロねじに嵌るマイクロナットを試作した.次年度,線径が10μmの金メッキ・タングステン線を用いて試作を試みる.この外に,本年度は,線径0.1mmの錫メッキ銅線を用いた,直径4.8mm,長さ20mmの双翼軸流タービン,線経0.2mmの錫メッキ銅線を用いた多針フィルタを試作した
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