Research Abstract |
本研究では,線経が10μm以下の超極細ワイヤを用いて,極小のマイクロ機械要素と,これらを組み合わせたマイクロ機械システムを試作・開発する,併せて,試作したマイクロ機械要素とその機械システムが機構学的に成立すること,それらマイクロ機械要素の製造法を確立すること,また実用として活用できること,を理論的・実験的に明らかすることを研究の目的とした. H23年度は,マイクロねじの製作法の改良を行い,線径が20μmの錫めっきモリブデン線と同じ線径のタングステン線を2本1組として,直径0.5mmのニッケル下地金めっき真鍮ピンに,自動巻き線機を用いて斑なく均一に密着させて巻き付け,その後,これを粘性が低く間隙高さが高い鉛フリー半田の溶融槽に徐々に浸漬することで,ワイヤを全ての巻き線部分でピンに半田接合できることを見出した.また,外径がdのマイクロねじに適正に嵌るマイクロナットを製作するためには,製作の途中で使用する中心ピンの直径D1をD1=d-1.4642dで求め,この直径のステンレスピンを用いることが有効であることが分かった. この外に,本年度は,(1)線径が0.32mmの錫メッキ銅線を38本用いた,歯数19,円錐角40°のマイクロ曲がり歯かさ歯車の製作法を確立した.(2)線経が30μmのステンレス線を用いた,ピッチが60μ,長さ15mmのマイクロピッチラックの製作法を確立した。(3)線経が40μm,直径2.11mm,長さ8mmの軸流マイクロタービンの製作法を確立した.(4)線経0.176mmのポリウレタン被膜導線とナイロン線を用いて,穴径0.176mm,穴数51個のマイクロ多針フィルタを試作・開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
超極細ワイヤであるモリブデン線やタングステン線をピンなどに半田接合することが難しく,また,20μmのワイヤは切れやすく,ワイヤを密着配列することが難しかった.さらに,部材の熱膨張や半田が固化した後の残留応力による寸法変形が大きく,これらの対策を見出すために多く時間を要した.このため,マイクロ斜歯歯車の巻き線機の製作,マイクロシステムの構築を行うことができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
研究室レベルの半田付け装置を用いて,それぞれのマイクロ機械部品の試作に成功しているが,H24年度は,半田付け方法については専門技術者からの助言を受け,また,巻き線技術についてもワイヤ製造メーカおよび自動機組み立て技術者からの助言を受け,実用に使用できるマイクロ部品を製作したいと考えている.そして,精度が高めたマイクロ部品を組み合わせてマイクロシステムを構築し,諸性能を測定して「超極細ワイヤを用いたマイクロパーツ製作法」の有効性を明らかにしたいと考えている,
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