2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22560152
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
加藤 寛敬 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (30311020)
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Keywords | 摩擦表層 / トライボメタラジー / 微細組織 / ナノ結晶化 / トライボロジー / 材料移着 / 耐摩耗性 / 摩擦 |
Research Abstract |
摩擦表層の金属学的研究(トライボメタラジー、Tribo-metallurgy)により、摩擦条件と表層組織との関係を明確にし、ナノ結晶化・組織微細化する摩擦表層の生成条件やその物性を明らかにする。さらに、その摩擦を利用した超微細組織金属表層の摩耗特性を評価し、耐摩耗性・耐凝着性に優れた摩擦表層を開発してトライボロジー分野への応用の可能性を探ることを研究目的としている。2年目の平成23年度は、摩擦表層のトライボロジー特性の評価に重点を置いた。 ピンオンディスク摩擦試験により摩擦表層を生成したS45Cピンと旋盤加工のままのS45Cディスクを用い、摩擦速度0.1m/s、負荷荷重19.6Nの条件で摩耗テストを行った。その結果、(1)摩擦速度を0.05m/s~5.0m/sと変化させて摩擦試験したピンを用いた場合の摩耗テストでは、摩擦速度が最も速い5.0m/sのピンでテスト終了まで緩やかなマイルド摩耗が続き耐摩耗性に優れていた。しかし、それ以外の摩擦速度のピンでは、摩耗テスト初期のマイルド摩耗からある摩擦距離で激しい摩耗(シビア摩耗)に変化した。(2)摩擦速度が5.0m/sのピンでは、結晶粒が全く観察できない程組織が微細化していてナノ結晶化していると考えられる超微細組織が観察された。(3)摩擦試験したピン断面のビッカース硬さ試験では、いずれの摩擦速度のピンにおいても、最表面でHV600程度まで硬さが上昇していた。しかし、摩擦速度0.05m/sでは、測定場所によっては硬さがあまり上昇していないところがあった。 したがって、耐摩耗性に優れた摩擦表層を得るには、摩擦速度を相当速くしてナノ結晶化していると思われる超微細組織を表面全体に生成することが必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
耐摩耗性に優れた摩擦表層を得るには、摩擦速度を相当速くしてナノ結晶化していると思われる超微細組織を表面全体に生成することが必要であることが明らかになるなど、摩擦を利用した超微細組織金属表層の摩耗特性についての研究成果がみられつつあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
耐摩耗性に優れた摩擦表層の生成メカニズムやその生成条件、さらにはTEM観察などによる微細構造解析を行うことにより、耐摩耗性・耐凝着性に優れた摩擦表層を開発してトライボロジー分野への応用の可能性を探る。
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