2011 Fiscal Year Annual Research Report
微小循環系のマルチスケール血流バイオメカニカルシステムの同定
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22560155
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坪田 健一 千葉大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (10344045)
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Keywords | バイオメカニクス / 血流 / 流体力学 / 固体力学 / 計算力学 |
Research Abstract |
本年度は,従来観察されてきた定ずり速度下の赤血球運動について,前年度に続いて計算力学的検討を行った.まず,赤血球膜変形と粘性流れとの三次元連成計算の粒子法シミュレーション法を確立し,パラメタスタディによって,粘性せん断力,膜の弾性定数と自然状態の組み合わせに応じた,赤血球のタンブリング運動とタンクトレッディング運動の遷移挙動を明らかにし,これらのパラメタセットに関する赤血球運動の相図を得た.続いて,上記のパラメタがタンクトレッディング中の伸張変形に与える影響を明らかにした.さらに,膜の力学パラメタセットに応じた赤血球の釣合形状も求めた.以上の結果から,実験的に観測されてきた赤血球膜の弾性定数および赤血球内外の流体の粘度比を与えたとき,定ずり速度下の赤血球の運動遷移挙動とタンクトレッディング運動中の剛体回転振動,および赤血球の釣合形状を力学的に説明するためには,赤血球膜の自然状態が,球形と両凹円盤形の中間である必要があることがわかった.一方,血球の力学的相互作用に応じた血球の凝集挙動について,血栓の形成モデルを用いた力学計算を行った.その結果,血球同士の凝集力の大きさや,凝集力を発生するタイミングが,凝集挙動に大きな影響を与えることが示された.また,血栓形成を決定するパラメタとして,凝集力と流体力の比を表す力学パラメタを新たに提案し,血栓形成過程をこの力学パラメタに応じて整理することを試みた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に記載の項目に応じて,進展が著しいものと,通常の進度のものと,ばらつきがあり,全体としては,順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
計算力学をベースに,着実に研究項目を進めることが出来る見込みである.
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