2011 Fiscal Year Annual Research Report
大気環境条件を満たす大規模乱流中のストリートキャニオン現象の解明
Project/Area Number |
22560165
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
関下 信正 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (70283489)
|
Keywords | 乱流 / せん断流 / 渦 / 熱・運動量輸送 / 風環境 / ビル風 / 大気拡散 / 風洞実験 |
Research Abstract |
せん断乱流発生装置を有する大気乱流風洞によって、都市におけるストリートキャニオン(ビルに挟まれた大通り上空の流れ場)の実験を行った。ストリート両側のビル模型の形状・配置、加熱ストリートの幅を変化させ、煙注入法による流れ場の可視化、および、熱画像カメラによる加熱路面の温度分布の計測を行った結果、以下の成果を得た。 (1)ストリートの冷却に大きく影響を及ぼす流れは、(1)定在する平均流および循環流、(2)乱流運動を伴う流れおよび循環流であり、そのパラメータは(i)大規模乱流または格子乱流の乱流特性、(ii)建物配置および建物高さ、(iii)ストリート幅である。 (2)パラメータ(i)の影響について、大規模乱流中の場合、乱流運動の影響によってストリート表面が均一的に冷却される。一方、格子乱流中の場合、上述した流れ(1)により局所的に冷却される。特に、大規模乱流中と比較して、格子乱流中では風下側建物前面に定在する循環流が発達し、風下側建物前面がより冷却された。 (3)パラメータ(ii)の影響に関して、風下側建物高さが風上側建物高さよりも高い場合、風下側建物前面に大規模な循環流が定在し、風下側建物前面がより冷却された。 (4)パラメータ(iii)の影響が顕著である建物配列では、ストリート幅が広い場合、主な流れ場は風上側建物背後の上下に運動する循環流、ストリート表面に再付着しながら変動する下降流、風下側建物前面の循環流である。一方、ストリート幅が狭い場合、風上側建物と風下側建物間に循環流のみが定在すると同時に、スパン方向に並ぶ風上側建物間を定常的に流れる平均流によって、ストリートが冷却されたが、温度分布はストリート幅が広い場合と比較してより均一的となった。 (5)風環境を配慮した都市計画に役立つ実験データベースを構築し得る実験データを得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね当初の計画通りに研究を進行できており、大規模乱流場および格子乱流場中でストリートキャニオンにおける建物配置・形状、ストリート幅を変化させて実験を実施し、加熱ストリート路面上の温度分布、および、流れ場の可視化に関する実験データを蓄積できている。さらに、その成果を国際学会(13th International Conference on Wind Engineering)で発表した。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)前年度に引き続き、風洞実験用ストリートキャニオンモデルを風洞測定胴の床面に設置して実験を行う。ストリート表画の温度分布の計測および、流れの可視化手法によって、ストリート幅、ストリート両側のビル模型の形状・配置パターンを変化させた系統的な実験を実施し、データをさらに蓄積し、ストリートキャニオン内に存在する渦構造によってストリート表面が冷却されるメカニズムを解明する。 (2)現有の煙発生装置および高速度カメラなどを使用して、流れ場の可視化実験も実施する。ストリート幅を変化させて実験を行い、流れ場中の渦構造とストリート表面の冷却効果の関係を考察する。 (3)実験結果を整理し、実験データベースを構築するとともに、報告書を作成する。
|