2010 Fiscal Year Annual Research Report
微小生物の極限状況下での運動機能と微小形態構造の流体力学的解明
Project/Area Number |
22560173
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
須藤 誠一 公立大学法人 秋田県立大学, システム科学技術学部, 教授 (90006198)
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Keywords | 生物流体力学 / バイオメカニクス / マイクロ流体工学 / 微小生物遊泳 / 飛行昆虫 / 微小振動応用 |
Research Abstract |
当該研究は,食物連鎖の下層を支えている比較的小さな動物や植物が,他の動物などの餌となりながらも,進化の歴史を通じて種として生きながらえている基本的な原理を,それらの生命が脅かされるような極限状況下にさらされた場合に示す運動と運動器官の形態構造の関連性から流体力学的に解析・究明することを目的としている。さらに,その成果をバイオマイクロメカニズムの構築に応用展開するものである。 計画初年度での成果として,飛行する数種類の昆虫に関して,その飛行器官としての翼のアスペクト比と飛行メカニズムとの関係が明らかにされた。しかも,前翅あるいは後翅を切断されたトンボが,ある程度の時間ではあるが,飛行できることが明らかとなった。微小水棲生物に関しても,アミなどの遊泳器官である肢には多数の細毛が生えていて遊泳時に流れに負けずに対抗して広げて,流体力学的抗力を生成していることが明らかにされた。しかも,生物の運動器官の繰り返し運動には最適な周波数の存在することが遊泳ロボットによる実験などから明らかにされた。また,水棲生物で遊泳を主な移動手段としているアミを陸にあげた場合,通常は突発的な遊泳時に使用する遊泳器官としての尾扇を用いて体長の数倍の高さまで跳躍できることなど,生物は危機的な状況で,人間が考えもつかない様な,特異な運動能力を示すことなどが明らかにされた。これら生物の運動器官に観察される微小振動を磁気特性の優れた永久磁石や磁性流体を使用し,流体力学的な観点から,いくつかの人工メカニズムを考案し,それらの特性を丹念に調べ,マイクロアクチュエータ開発への道を拓いた。
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Research Products
(13 results)