2011 Fiscal Year Annual Research Report
蛇行プルームの断面可視化による拡散物質濃度測定と拡散モデルの構築に関する研究
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22560181
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Research Institution | Kushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
小杉 淳 釧路工業高等専門学校, 機械工学科, 准教授 (60290673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関下 信正 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (70283489)
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Keywords | 大気乱流拡散 / 風洞実験 / 可視化画像計測 / 蛇行プルーム / 大気汚染 |
Research Abstract |
H23年度に実施した研究内容は次の通りである.(1)可視化計測における濃度計測の較正方法の確立;一般撮影用のデジタルカメラは,人間の視覚特性に合わせられており,煙の濃度と画像から得られる輝度には直線性がない.このため暗室内でLEDヴューワを用いてカメラの感度特性を求め,その逆関数を可視化画像の輝度に乗じることで濃度補正が行えることを確認した.また,プルーム断面の可視化には複数台のストロボからなるシート状光源用いるが,照明度は測定領域内で変化する.このためストロボ光の強さを簡易的な可視化実験から取得し,演算によってカメラの画素一つ一つの補正を行えるようにした.なお,以上の結果については,日本機械学会北海道支部第50回講演会において学会発表を行った.(2)一様乱流場における可視化実験:風洞に設置している動的な乱流発生装置を作動させ,その装置の撹拝翼の振れ具合を制御することで,同じ主流流速のもと,乱流レイノルズ数を46~445まで5通りで変化させた一様乱流場において,プルームの断面可視化計測を行った.取得した画像を解析した結果,問題点と重要な事実が判明した.問題点としてはトレーサ発煙ノズルからの吹き出し量の設定が正確に行えず,乱流場の規模と濃度場の関係に一部整合性が得られない結果が見られ今後再実験の必要がある.また,瞬間プルームの平均濃度分布は,乱流場の規模が大きくなるほど,すなわち蛇行による拡散作用が強いほど,正規分布からはずれ,尖ったような分布形状となった.これは蛇行プルームが乱流渦の作用でこま切れ状態になり,局所的に高濃度のトレーサが点状に出現するためだと考えられ,これまでの拡散研究では報告例を見ない.観測時間の問題や画像の平均枚数による問題も考えられるが,今後さらに,既存の拡散モデルとの比較や検討,またはデータ解析における手法の検討などからこの現象の正確性と妥当性について更なる実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験条件の設定ミスおよび,可視化画像の較正手法の一部に不備が見つかったため,データ取得と解析が当初の予定より大幅に遅れている.また,可視化のトレーサとしてミスト(油滴)を用いているが,気化の影響が無視できない可能性があり,トレーサの発生方法の検討を行っていることが研究遅延の大きな理由である.
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Strategy for Future Research Activity |
実験的な基礎技術はある程度確立しているので,現在不備が見つかっている,較正方法とトレーサについて予備実験を行い問題点をクリアする技術を確立したのち,一様乱流および一様せん断乱流場において,乱流場の規模とせん断の割合を変化させ蛇行プルームの濃度特性の変化について可視が実験から明らかにしていく.トレーサーについてはレーザ計測で用いている,固形粒子(活性白土)を用いてもある程度,画像が取得できることを確かめているが,ミストに比べ薄いため当初予定していた乱流場の規模の変化を小さく抑えなければならない可能性もあるが,可視化照明の工夫などをおこない,可能な限り当初予定されていた条件で実験を行う予定である.
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