2013 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖海域の海流計測を目的としたGPS搭載小型定水深浮遊体システムの開発
Project/Area Number |
22560182
|
Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
宮本 弘之 熊本高等専門学校, 機械知能システム工学科, 教授 (90124156)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入江 博樹 熊本高等専門学校, 建築社会デザイン工学科, 准教授 (70249887)
|
Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 海洋保全 / 流体工学 / 衛星測位 |
Research Abstract |
本研究の目的は、環不知火海における自然環境の保全と改善に寄与するために、不知火海の海流調査法を提供することであり、(1)不知火海の海流をリアルタイムで計測する、(2)定水深浮遊体および実験水槽を開発する、(3)一定水深の不知火海の海流情報を提供する、(4)球磨川の淡水流入による海中への影響を推定することである。 本年度は、これまでの研究から抽出した改善点を定水深浮遊体に反映させた制御手法および通信機能を用いて、浮遊体の動作状況を屋内の立型実験水槽で目視確認すると共に、実際の海流における予備実験を実施した。 (a)密閉水槽における定水深浮遊体実験の効率化について: 昨年度は赤外線リモコンにより定水深浮遊体の動作モードを切り替えて従来よりも実験効率を高くしたが、赤外線の方向性に伴う機器の不安定動作あるいは動作不可の状況も見受けられた。本年度は赤外線を電波通信に切り替えることにより、通信の方向性による問題を除去するばかりでなく、水槽外部のパソコンと水槽内部の浮遊体機器とのデータ送受信を極めて安定化させることができるようになり、密閉水槽内における定水深浮遊体の実験効率は飛躍的に高まった。 (b)浮遊体の定水深維持に関する改善について: 昨年度までは浮遊体の制御には水深データと設定水深との関係のみで浮遊体の給排水制御を試みていたが、自重と浮力に大きな差が生じてしまうことがあり、潜水と浮上の振れ幅が大きくなる不具合があった。本現象を改善するため、本年度は浮遊体の給排水量を水深と設定水深との差に比例させた単純な比例制御を導入するのみで潜水と浮上の振れ幅を小さくできた。この比例制御の効果は浮遊体の密閉水槽および実際の海中における実験でも確認した。 (c)GPSおよび通信機能について: 現行の海面漂流体において良好動作しているGPSおよび通信機能の本定水深浮遊体への搭載について引き続き検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
赤外線通信を電波通信に切り替えることで方向性に依存しない通信が可能になるばかりでなく、水槽の内外部とのデータ送受信も可能にして密閉水槽内における定水深浮遊体の実験効率を飛躍的に高めた。また、浮遊体の給排水量を水深との比例制御を導入したことで安定した定水深維持が可能になった。GPSおよび通信機能についても海面漂流体で良好動作していることから、本研究はおおむね順調な進展と考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究推進方策としては、任意水深に浮遊体を留めるための制御手法を確立させると共に、漂流途中での海水密度変化への対応および浮遊体の海底底付判定への対応をシミュレーションと水槽実験で検討して、定水深浮遊体を完成形にまで成熟させる。また、海面漂流体で実績を積んでいる機器(GPSおよび通信機能)の本定水深浮遊体への搭載に目途をつけると共に、長時間運用を可能とするための定水深浮遊体、GPSおよび通信機器の省電力化を行う。
|
Research Products
(3 results)