2011 Fiscal Year Annual Research Report
誘電体バリア放電誘起噴流の高速化メカニズム解明に関する研究
Project/Area Number |
22560183
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
瀬川 武彦 独立行政法人産業技術総合研究所, 新燃料自動車技術研究センター, 主任研究員 (50357315)
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Keywords | 誘電体バリア放電 / プラズマアクチュエータ / 流体制御 / 噴流 / プラズマ科学 / 高電圧 / 入力波形依存性 / 高温 |
Research Abstract |
非対称電極構造を有する誘電体バリア放電プラズマアクチュエータにより誘起される一方向噴流の加速メカニズム解明に向けて、マイクロスケールの放電生成消滅過程とマクロスケールの噴流形成過程の関係を粒子可視化速度測定装置(PIV)とストリークカメラを用いて解析した。高温場においても優れた絶縁性、耐熱性を有するサファイアガラスとアルミナを絶縁層とするプラズマアクチュエータを試作し、大気圧下で20℃から200℃までの温度場における、空気密度、絶縁材料の誘電率の違いが誘起噴流の流動特性に与える影響を調べた。特にサファイアガラス基板への電極形成は、イオンプレーティング法による製膜により形成することが可能になり、100μmまでの薄膜サファイア基板を用いたプラズマアクチュエータの試作にも成功した。その結果、絶縁材料の種類に関わらず、高温化に伴う空気密度の低下が誘起噴流を減速させることを確認した。また入力電圧波形を同一にした場合でも、各絶縁材料の誘電率の違いにより計測される電流波形に大きな相違が見受けられる。これはプラズマアクチュエータが有する静電容量への電荷供給量が変化し、投入電力にも大きな差が生じさせることが明らかになった。一方、誘電率の変化により、絶縁材表面からの電子供給量が変化する可能性がある。しかし、巨視的な誘起噴流へ与える影響については、異なる厚み誘電体を用いて誘起した噴流速度を補正して比較のした結果、有意な差は見られなかったため、より厳密な評価を行うために誘電率以外の条件を統一したプラズマアクチュエータの試作を開始している。さらに、ストリークカメラを用いた間欠的なスパイク状電流波形の時空間測定も開始し、電圧立ち上がり速度の違いにより特徴的な時間スケールが減少するが、その減少率は電圧立ち上がり速度の上昇とともに小さくなることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ポリイミド、石英ガラス、アルミナセラミック、サファイアガラスの4種類の絶縁素材について膜厚の絶縁材料を用いたプラズマアクチュエータの試作に成功し、作動環境の温度だけでなく誘電性の違いが誘電体バリア放電の生成消滅過程や誘起噴流の流動特性に与える影響を評価することが可能になったため、誘起噴流加速モデルを構築するための基礎データが集まりつつあり、本助成の最終年度(平成24年度)で目標達成の見込みがたったため、おおむね研究は順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
電圧立ち上がり時に計測されるスパイク状電流について、その時間スケールをストリークカメラ及びデジタルオシロスコープを用いて解析する手法に加え、誘電体バリア放電の進展過程についてもストリークカメラに加えてICCDカメラを用いて可視化し、誘起噴流加速モデルの構築へ向けた更なる情報を収集する。特に電圧立ち上がり速度と誘電体バリア放電進展距離の関係を明らかにし、モデル構築上必要な電流強度の電圧立ち上がり速度依存性について仮説を証明することで、より高精度のモデルの構築が可能になると推察される。
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