2012 Fiscal Year Annual Research Report
伝熱面の濡れ性の向上による限界熱流束促進機構の解明
Project/Area Number |
22560185
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂下 弘人 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00142696)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 沸騰 / 限界熱流束 / 濡れ性 / ナノ流体 / マクロ液膜 / 実験 |
Research Abstract |
本研究の目的は、伝熱面近傍の気液挙動の詳細な測定を通して,濡れ性の向上による限界熱流束促進機構を明らかにすること,および高熱流束機器の受動的除熱法として大きな可能性のある「ナノ流体」による限界熱流束の促進について,その有用性を検討することである.平成22年度は,伝熱面上に直径25nmの酸化チタンナノ粒子を析出させることで面の濡れ性を変化させ,濡れ性が限界熱流束に与える影響を検討した.その結果,ナノ粒子の析出によって伝熱面の濡れ性は大幅に向上し,水の限界熱流束は清浄面に比べて約2倍に促進されることが明らかとなった.平成23年度は,微細触針プローブによって伝熱面近傍の気液挙動を詳細に測定した.その結果,伝熱面を覆う合体泡下に存在する液層領域(マクロ液膜)の厚さが,ナノ粒子析出面では清浄面に比べて顕著に増大することが明らかになった.さらに,伝熱面ごく近傍の局所ボイド率と熱流束の同時測定より,限界熱流束はマクロ液膜の消耗により生じることを確認した.両結果より,濡れ性の向上による熱流束促進は,マクロ液膜厚さの増大によってもたらされていることが明らかになった.平成24年度は,直径100nmの酸化アルミニウムを用いた測定を実施した.その結果,直径25nmの酸化チタンと同様の結果が得られ,ナノ粒子の種類や粒径が限界熱流束促進に与える影響は小さく,濡れ性が限界熱流束促進の支配因子であることが判明した.さらに,濡れ性の向上によって厚いマクロ液膜が形成される機構を検討するため,5~40気圧の範囲で発泡点密度の測定を行った.高圧で実験を行う目的は,発泡点を増加させ気泡径を減少させることで測定精度を向上させるためである.測定の結果,ナノ粒子析出面の発泡点密度は清浄面に比較して減少し,これがマクロ液膜を厚くする要因の一つであると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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