2011 Fiscal Year Annual Research Report
藻類由来バイオマス燃料の航空用ジェット燃料としての利用
Project/Area Number |
22560186
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
古畑 朋彦 群馬大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (80261585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 雅隆 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80112176)
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Keywords | 藻類由来バイオマス燃料 / ジェット燃料 / 蒸発特性 / デポジット / 脂肪酸 / 不飽和度 / エステル化 |
Research Abstract |
藻類由来のバイオマス燃料には多様な脂肪酸が含まれており、ジェット燃料としての利用に関する基礎的データを得るために、これまでに藻類由来のバイオマス燃料に最も多く含まれている脂肪酸であるリノール酸を添加したジェット燃料について、燃料液滴を高温壁面上に繰り返し衝突させる手法を用いて、その蒸発速度や蒸発残渣(デポジット)の生成挙動について検討してきた。今年度は、脂肪酸の種類に着目し、含まれている脂肪酸のうち、その分子中の炭素-炭素二重結合の数(不飽和度)の異なる脂肪酸および脂肪酸のメチルエステルをジェット燃料に添加し、その蒸発速度および残渣の生成挙動について検討した。脂肪酸としてリノール酸(不飽和度2)、オレイン酸(不飽和度1)およびカプリン酸(不飽和度0)、脂肪酸メチルエステルとしてリノール酸およびオレイン酸のメチルエステルを選択し、それらをジェット燃料に10wt%混合した燃料を使用した。その結果、蒸発速度については、最大蒸発率を示す温度が、ジェット燃料は228℃であるのに対し、リノール酸添加燃料は266℃、オレイン酸添加燃料は271℃であり、脂肪酸添加により蒸発速度が遅くなることがわかった。一方カプリン酸添加燃料はジェット燃料と同じであった。またリノール酸およびオレイン酸のメチルエステル添加燃料はどちらも261℃であり、エステル化により蒸発しやすくなることがわかった。蒸発時に生成したデポジット量については、リノール酸添加燃料が最も多く、オレイン酸添加燃料、カプリン酸添加燃料、ジェット燃料の順に少なくなった。このことより、不飽和度の高い脂肪酸ほどデポジット生成量を増加させる効果が大きいことがわかった。また、リノール酸およびオレイン酸のメチルエステル添加燃料では、それぞれの脂肪酸を添加した燃料よりデポジット生成量が大幅に減少したことから、バイオマス燃料のメチルエステル化は残渣の生成抑制に有効であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
バイオマス燃料を添加した灯油の低負荷燃焼実験を行うための試験燃焼炉に設置されている噴霧燃焼バーナが他の実験中に一部が腐食し燃焼状態が不良となったため、低負荷燃焼実験を行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
腐食した噴霧燃焼バーナを新しいものに交換した。さらに新しいバーナを用いてA重油の燃焼実験を行い、適切な燃料流量について検討した。従って、今年度は低負荷燃焼実験を行うことが可能である。さらに今年度はガスタービン燃焼実験装置を用いた高負荷燃焼実験も行う予定である。
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Research Products
(1 results)