2011 Fiscal Year Annual Research Report
熱輸送を伴う固体・流体二相乱流のDNSと確率的数理モデル構築
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22560190
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松原 幸治 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (20283004)
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Keywords | 熱輸送 / 乱流 / 二相流 / DNS / 確率的数理モデル |
Research Abstract |
平成22年度に実施した分散性一様乱流のDNS(直接シミュレーション)では、連続の式を満たす初期条件を作成することが困難であった。この問題を回避するため、DNSコードを改変し、固体球を分散した二次元噴流のコードを作成した。 最初に、単相二次元噴流の時間発展三次元計算を行い、乱流場の発展挙動を観察し、計算プログラムの正当性を吟味した。速度分布は、境界層を三次関数で近似した分布形状として、境界層厚さに様々なかく乱を与えて、噴流の時間発展挙動を検討した。次に、固体球の衝突計算を厳密化するため、ある時刻の二つの球の位置と速度から、球が衝突する位置と時刻、ならびに、衝突後の速度と経路を計算し、時間ステップ経過した後の球の状態を与えるサブルーチンを開発し、DNSコードに導入した。このようなDNSコードを用いて、格子解像度と計算体積を変化させた計算を行い、これらの影響が小さく、計算コードが健全に作動していることを確認した。 本計算においては、一辺2πの立方体状の計算領域における二次元噴流の時間発展を取り扱った。噴流のレイノルズ数を1500とし、噴流中に30個の固体球を分散した。固体球と流体の密度比を2~10の間で変化させ、5ケースの計算値を得た。格子点数は144の三乗を基本としたが、より高解像度の計算も行った。比較のため、固体球を含まない二次元噴流も計算した。計算結果から、固体球の存在によって、平均速度の平坦化が促進されており、噴流の発達が早くなることが確認された。固体球が存在すると、噴流周辺部の乱れが強くなることや、低圧化する渦中心に球が引き込まれるため、固体球の拡散が加速されること等が判明した。以上のように基礎的な新現象の確認ができたことから、流動層等の応用的研究にへの基盤的な研究環境が整備できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分散性二相流の解析において問題となる初期条件の問題が回避でき、固体球の衝突の厳密な計算法を確立した上で、固体・流体二相噴流DNSコードを完成できた。また、このコードの格子依存性が小さいこと等の正当性を立証でき、さらに球が渦の低圧中心に引き込まれる等の新現象も見出した。以上のように、研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
次のステップとして、分散性二相乱流中の熱移動の計算を行う計画である。このためには、計算手法を書き下し、そのコーディングを行い、計算コードに導入した上で、テスト計算によって妥当性を吟味する必要がある。一方、確率的数理モデルの開発に関しては、モデルの方向性を立案、検討した上で、DNSによる計算値の導入による検討方法を考える必要がある。
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Research Products
(1 results)