2011 Fiscal Year Annual Research Report
細線熱電対群プローブによる「流体温度場スキャナ」の開発
Project/Area Number |
22560194
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
田川 正人 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (80163335)
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Keywords | 温度計測 / センサ / 流体温度 / 可視化計測 / 適応応答補償 / 細線熱電対 / 応答遅れ / 時定数 |
Research Abstract |
本研究の目的は,空調機や燃焼器など各種熱流体機器から排出される気体の温度分布を簡便かつ定量的に可視化できる計測技術「流体温度場スキャナ」を開発することである。本研究では,研究代表者らが長年にわたり培ってきた「温度センサの適応応答補償」に新たに「プローブの画像位置計測」を融合させることで,安全で取り扱い易く,かつ適用範囲の広い流体温度場の可視化法を開発する。本年度の研究成果は以下のとおりである。 1.素線径25μmと51μmのクロメル-アルメル熱電対それぞれ24本を直線上に2mm間隔で交互に配列することにより,プローブ軸方向の空間分解能が2mmの温度プローブを実現した。また,これら25μmと51μmを一組とする二線式熱電対(合計24組)の出力から,熱電対の熱時定数を正しく推定し,応答遅れを正確に補償できることを実証した。 2.温度プローブの各熱電対の間隔を縮小すれば空間分解能は高く,測定領域(走査領域)は小さくなり,間隔を拡大すれば分解能は低く,測定領域は大きくなる。この性質を利用して測定対象に応じてプローブの仕様を変更できることを示した。 3.性能の高い高速度カメラを導入してプローブの位置認識の精度と信頼性を向上させた。また,プローブ出力と画像データの保存方法およびそれらの後処理プログラムを改良して,測定結果の提示および再計算における柔軟性と利便性を向上させた。' 4.熱電対の総数を増やすことによって高い空間分解能と広い測定領域を有するプローブを実現できるが,一方で現在の有線計測システムではプローブの取り回しの自由度が低下する。そこで,プローブの操作性を高めることを目指して,無線計測システムの性能と適用可能性を検討した。 以上により,「流体温度場スキャナ」の基本性能を高めるとともに実用化への課題を明確にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
流体温度場スキャナのプロトタイプの開発に成功し,その可能性を明らかにすることができたので,研究はおおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
次の段階では流体温度場スキャナの実用性と機能を高める必要がある。具体的には,無線計測の導入によってプローブの操作性を高めること,二台のディジタルビデオカメラによるプローブ位置の立体計測により測定対象の三次元空間に流体温度場を提示すること,が今後の課題である。いずれの課題についてもその達成には高い技術水準が求められるので,本研究課題の最終年度には,流体温度場スキャナの無線・三次元計測への展開に向けて,綿密な準備と基礎の確立に集中して取り組む方策をとる。
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Research Products
(3 results)