2011 Fiscal Year Annual Research Report
乱流熱対流場の確率微分方程式近似に関する基礎的検討
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22560198
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石田 秀士 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助教 (80283737)
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Keywords | 乱流 / 確立微分方程式 / 蔵本・シバシンスキー方程式 / バーガーズ方程式 / カルマン・ブーシーフィルタ / 大偏差統計 / ノイズレベル |
Research Abstract |
本年度は前年度までに求まった近似方程式の高精度検証を行った.まず蔵本・シバシンスキー方程式(K-S方程式)の数値計算法について計算スキームの高精度化をおこない,乱流状態のスペクトルを計算した結果,定波数から高波数までスペクトル法と完全に一致する高精度解が得られた.この計算コードを用いて前年度に行った有効粘性係数をカルマン・ブーシーフィルタを用いて計算した結果,その値はほぼ一致し,ノイズレベルの検討を新たに行った結果,この値がZ可測推定であると同時に,この有効粘性においてほぼノイズレベルが最小になっていることが明らかとなった.これはこの係数が物理的にも有効であることが確認されたことを意味する. さらに大偏差統計を用いて揺動力項のクラメル関数を求めた.前年度までに得られた分布は粗視化パラメータTの値の妥当性の検証がなされていなかったが,本年度はこれをもパラメータにして適切なTを検討した結果,このTが前述の有効粘性係数を求めるのに必要なTのほぼ最小値となることが明らかとなった.以上のように本年度は得られた近似方程式が伊藤過程(ノイズを付加したバーガース方程式)で近似でき,、本研究で得られた係数が最適であることが明らかとなった. 一方,本年度の研究の過程でK-S方程式のエネルギー散逸構造を維持するためにはこのようにして得られた近似方程式を単純に数値積分(数値伊藤積分)するだけでは不十分であること,さらにそもそもこのような数値積分法は発展途上であり,和書は存在しないことが明らかとなった.これは新たな(数値)確率積分が必要であることを意味しており,文献サーベイも含め来年度の課題である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予想できなかった問題を解決しながら,着実に当初の目的であるモデル化方程式の構築方法の提案に向かっている.
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Strategy for Future Research Activity |
当初想定していなかった,新たな確率積分法の提案が必要となっているが,来年度はまず物理的に妥当な数値積分法を射影演算子法・伊藤テイラー展開を参照しながら構築し,その後対応する確率積分を数学的に定義する方向性を考えている.
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