Research Abstract |
内径1mm程度の微細流路を有する円管と矩形および三角形の非円形管を対象に,冷媒R410Aを用いて,垂直上昇流および下降流における気液二相流動様相の観察と沸騰熱伝達および摩擦圧力損失に関する実験を行い,以下の結果を得た. 1.いずれの管でも,流動様式は,低クオリティのスラグ流から,チャーン流を経て,高クオリティの環状流に遷移するが,スラグ流のクオリティ範囲は低流量ほど大きく,高流量では全域で環状流となる.また,上昇流より下降流の方が,さらに下降流では非円形管の方が,低いクオリティで環状流に遷移した. 2.スラグ流気泡プラグ周囲の液膜厚さは,非円形管では周上で大きな分布を生じ,その最小液膜厚さは,円形管と比べてかなり薄くなることを確認した.一方,高流量の環状流では,流路形状による液膜厚さ分布の違いはみられなかった. 3.摩擦圧力損失は,いずれの管でも,クオリティの増大につれて,全般に,増大する傾向を示すが,低流量の低クオリティでは低下する傾向がみられた.矩形管と三角形管の摩擦圧力損失は,ほぼ同じで,中程度の流量では,円管より幾分低めの値を示した. 4.非円形管の熱伝達は,主に低流量および低クオリティ域で,すなわち流動様式がスラグ流となる領域で,円管より高い熱伝達率を示し,伝熱促進が達成された.これは,スラグ流の気泡プラグ周囲液膜厚さが,円管より薄くなることが,寄与していると考えられた.また,同様な効果が,低流量の高クオリティ域,すなわち環状流となる領域でも,確認された. 5.非円形管のドライアウトクオリティは,円管と比べて,全体に,高く維持されることがわかった.
|