2011 Fiscal Year Annual Research Report
固体高分子形燃料電池の無加湿運転のための高性能ガス拡散層に関する研究
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22560202
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北原 辰巳 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (50234266)
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Keywords | 固体高分子形燃料電池 / 水管理 / ガス拡散層 / マイクロポーラス層 / 撥水性 / 親水性 |
Research Abstract |
固体高分子形燃料電池(PEFC)の性能を向上させるためには,電解質膜を適正な湿潤状態に保ちプロトン伝導性を高めるとともに,電極触媒部の過剰な水分を速やかに排出してフラッディングの発生を防止することが重要である.通常のPEFCでは加湿器を設けアノード・カソード両極に加湿した反応ガスを供給している.しかし近年はPEFCの総合効率向上,並びにコスト低減の方策として加湿器を設けない簡便なPEFCシステムの実用化が求められており,無加湿運転時の発電性能向上が重要な研究課題になっている.PEFCの耐ドライアップ性を向上させる方策としてガス拡散層の表面に撥水マイクロポーラス層(MPL)を塗布する手法が一般に適用されているが,MPL付き拡散層に関する設計指針については不明な点が多い.そこで本研究ではPEFCの耐ドライアップ性を向上させる方策として,撥水MPL表面に親水層を塗布した親水・撥水複合MPL付きガス拡散層を考案した.親水・撥水複合MPLを適用すると親水層により電極触媒部における保湿性が高まると同時に,親水層と基材の間に設けた撥水MPLにより基材部を流れる乾燥ガスが親水層部の水分を取り去ることを抑制できるため耐ドライアップ性の大幅な向上が期待できることを明らかにした.親水層の厚さは5μm程度まで薄く設定することが発電性能の向上に重要であることがわかった.また複合MPLにおける撥水MPLの最大細孔径は20μm程度に設定することが耐ドライアップ性の向上に重要であることがわかった.さらにPEFCカソード出口に親水MPL付き拡散層を用いた湿度交換システムを考案した.この湿度交換システムを適用するとカソード出口ガスに含まれる水分を回収し,アノード入口の乾燥ガスに水分を供給できるため,PEFC低湿度(無加湿)運転時の発電性能を向上させる方策として有効であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PEFCの低湿度(無加湿)運転時の発電性能を向上させる方策として,親水・撥水複合MPL付きガス拡散層を考案し,耐ドライアップ性を向上させるための複合MPLの細孔径,厚さ,並びに親水・撥水性に関する設計指針を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はPEFCの低湿度運転時の発電性能を向上させるための親水・撥水複合MPL付きガス拡散層の設計指針について明らかにした.一般にPEFCは低湿度から高湿度までの幅広い湿度条件で運転されるために,耐ドライアップ性のみならず耐フラッディング性を向上させることも極めて重要な課題である.そこで今後は高湿度条件下における親水・撥水複合MPL付きガス拡散層の発電特性を明らかにし,無加湿から高湿度までの幅広い条件で発電性能を向上させるための適正な設計指針について検討していく予定である.
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Research Products
(6 results)