2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560204
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
光武 雄一 佐賀大学, 工学系研究科, 准教授 (20253586)
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Keywords | 遷移沸騰 / 固液接触 / 表面温度計測 / 不均質核生成 |
Research Abstract |
高温面のぬれ回復条件の定式化は,遷移沸騰領域での素過程の解明のみならず,高温面の沸騰冷却を利用する工業的応用面から非常に重要である.本年度は,固体側の非定常熱伝導と連成した非定常沸騰の観点に基づいたぬれ回復条件の解明に必要となる高温面上の二相界面或いは三相境界線上の温度・熱流束の非定常測定に用いる表面温度センサーの試作と性能評価を実施した.まず,固液接触中に生じる表面温度変化測定に要求される1kHz以上の応答周波数を実現するための表面温度センサーの構造と材料,測定誤差を数値計算に基づき検討した.そして,放電孔加工と無電解メッキを用いて,厚さ5mmのNi円板上に3μmのNi薄膜とφ0.3mmのクロメル細線端面との接合点を複数形成した表面熱電対を低コストで簡単に作成する方法を実証した.試作伝熱面は,熱放射ヒーターとともに非定常沸騰観察装置に組み込み,エタノール単一液滴衝突時の非定常沸騰過程と固液界面の温度変化の同時測定を実施して,表面温度センサーの耐久性と時間応答性を検証した.試作した薄膜センサーは,50回を超える液滴滴下による沸騰に対しても破壊されることなく機能し続け,次年度実施予定の非定常沸騰実験に必要な耐久性を確認した.高温面上への液滴衝突時の熱起電力変化と高速ビデオカメラによる非定常沸騰状況観察との対応関係から表面温度センサーとしての動作確認を行い,研究目的を達成する上で重要なセンサーの製作方法は確立できた.しかし,急冷時の温度変化に基づくセンサー時定数は5ms程度で,予測性能の約100倍と大きかった.原因として,検証方法の誤謬或いは細線の絶縁膜形成不良による伝熱面内部での測温点形成のいずれかと考えており,現在測定方法の確認と絶縁方法の改善を行っているところである.時間応答性を再度確認した上で,次年度の研究計画を実施する予定である
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