2011 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界ジメチルエーテル噴霧の活用によるディーゼルエンジンの高性能化研究
Project/Area Number |
22560206
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
是松 孝治 工学院大学, 工学部, 教授 (50124962)
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Keywords | 熱工学 / 新エネルギー / 再生可能エネルギー / 可視化 / 流体工学 / 噴霧 |
Research Abstract |
本研究は石油枯渇後をにらんだ、高性能DME〈ジメチルエーテル〉燃料エンジンを実現するための基礎研究である.DMEが単一成分燃料であることから、そのポテンシャルを最大限に生かす点に特色がある.そのなかで、DMEを噴射装置内で超臨界状態にして、これをシリンダ内に噴射・燃焼させ飛躍的な性能向上を目指している. 平成23年度は、DMEが超臨界状態になっている噴射装置内の流動解明を行なった.超臨界状態の扱いは、実在気体の状態方程式に集約されるPeng-Robinson式を用いて計算モデルを構築した.コモンレール式燃料噴射装置を想定した流路系で,数値解析を行い超臨界DMEの噴射系内流動を解明した.この結果、臨界点付近で噴射時の全体的な圧力変化と異なる高周波の変動が起こっていることがわかった.この現象が超臨界DME固有の特性であり、燃焼室内に噴射され形成される噴霧特性(分散性、貫徹性、微粒化性)に影響するかどうかを解明する必要性が出てきた.そこで、電子制御式燃料噴射システムを新たに設計試作した.この際には,燃料配管からの漏れやゴム製のOリングが腐食されるといった燃料性状に起因する困難を乗り切り,電子制御式インジェクタやインジェクタドライバーの問題を解決し燃料噴射システム全体を完成させた.この成果は現在取りまとめ中である.特に、臨界点付近の高周波の圧力波が検出される理由について検討中であり、さらに噴霧特性にどのように影響しているかについて精査している. 最終的にはこれらの知見をまとめて「超臨界DME専用噴射装置」の設計に役立つ情報の整備を行うことを目指している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画段階では予想しなかった「臨界点付近の高周波圧力変動」の存在が、超臨界DME噴霧にどのような影響を及ぼすかについて明らかにする必要渉出てきた.
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Strategy for Future Research Activity |
超臨界DMEについて基礎な観点からの研究が少ないので、それを補うために計算モデルの活用が効果的であることを感じた.残りの期間は実験と並行して、計算モデルを効果的に使い当初の目標に達するべく研究推進を図る.
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