2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁性粒子を利用したナノ・マイクロスケール局所加熱法の開発
Project/Area Number |
22560209
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
森本 久雄 東洋大学, 理学部, 准教授 (00385957)
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Keywords | 熱工学 / マイクロ・ナノスケール伝熱 |
Research Abstract |
本研究は,高周波交流磁場による磁性ナノ・マイクロ粒子の加熱技術と,外部磁場による磁性粒子のマニピュレーション技術を融合し,新規ナノ・マイクロスケール局所加熱法を開発しようというものである.今年度(平成22年度)の研究成果概要は以下の通りである. (1)磁性粒子加熱技術の確立 高周波交流磁場中の磁性粒子の発熱量は粒子の磁気特性に依存する.そこで,各種磁性ナノ・マイクロ粒子の磁気特性を測定し,本研究に適した粒子を選定するとともに,これら粒子の発熱量をその磁化曲線から評価した,また,粒子を加熱しながら顕微鏡観察が可能なコイルシステムを作成し,これを用いて交流磁場中の粒子近傍の温度上昇を観察した.温度分布の可視化には感温性蛍光色素を用いた.本実験により,粒子のごく近傍の領域のみが加熱される様子が観察された.また,粒子表面の熱伝導解析プログラムを開発した.今後は本プログラムによる解析と実験との比較検討により,より定量的な解析を行う. (2)磁性粒子マニピュレーション技術の確立 回転磁場中の非磁性基盤表面の磁性粒子のダイナミクスを実験およびコンピュータシミュレーションにより解析した.実験では,回転磁場の強度および周波数と粒子の移動距離との関係を解析し,コンピュータシミュレーションでは主にストークス動力学法によって粒子の運動モードに関する詳細な解析を行った.両解析により,実験条件と粒子移動速度の関係や粒子操作の最適条件など,粒子マニピュレーションを行うための基礎データが得られた. (3)バイオ・医療への応用化検討 本研究で開発する加熱手法のバイオ・医療への応用化研究のための予備的研究として,磁性粒子と生体分子および生体細胞との相互作用を解析した.粒子の材質,表面修飾,表面帯電量などに応じて粒子は生体分子および生体細胞と結合した.また,粒子表面に結合した酵素は,交流磁場の印加によって加熱され,その活性が上昇することがわかった.
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