2012 Fiscal Year Annual Research Report
草本・木質バイオマスからの水素製造と液体燃料化技術の構築
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22560213
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Research Institution | Maizuru National College of Technology |
Principal Investigator |
奥村 幸彦 舞鶴工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (80262971)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 再生可能エネルギー / バイオマス / ガス化反応速度 / 触媒 / 熱分解 / 水素製造 / 環境負荷低減 / 副生成物 |
Research Abstract |
バイオマスの熱分解速度はチャーのガス化速度よりもはるかに速いために、バイオマスを燃料化する総括転換速度は還元ゾーン(吸熱反応域)でのチャーのガス化反応速度によりコントロールされる。このため、チャー反応の迅速化を図る必要がある。本研究では触媒担持を行い、チャー反応の低温・迅速化を目指した。さらに、燃焼熱の利用によるガス化の際に発生する副生成物(窒素酸化物)について数値解析を行った。以下の結果(1)~(4)はガス化に関する知見、(5)は窒素酸化物に関する知見である。 (1) チャーに直接カリウム担持を行った場合、木質バイオマス(米松)では少量の担持率(2.1wt%)により、ガス化速度が約1.5~4倍に増加する。 (2) 木質バイオマスだけでなく草本バイオマスにおいても、カリウムの触媒効果が観測される。カリウムをチャーに直接担持することで飛躍的に低温でのガス化反応速度を向上できる。 (3) N2/CO2/O2=18/41/41で作製したチャーの反応速度定数は、他の雰囲気で作製したチャーのそれらと比較し、1.7~2.5倍であった。熱分解時の酸素濃度が高い場合には、熱分解時に細孔が発達する。反応速度定数はBET表面積の増加と共に単調に増加する。 (4) 燃焼によるN2O生成およびNO生成は、ガス温度に強く依存する。低温燃焼場(T=1100K程度)においては、バイオマスからN2Oが多量に生成し、その生成量はバイオマス中の窒素含有率の増加に伴い増加する。また、バイオマス中窒素分からN2Oへの転換率は、揮発分放出が緩慢であるほど増加するメカニズムを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要でも述べたように、650℃程度において、反応速度定数Kp ≒ 0.1/minの低温迅速ガス化が十分実現可能であることを示すことができた。バイオマスをガス化する際のエネルギーロスを最小限にとどめ、燃料化の高効率化がはかれることを意味する。
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Strategy for Future Research Activity |
バイオマスを燃料化する総括転換速度は還元ゾーン(吸熱反応域)でのチャーのガス化反応速度によりコントロールされる。また、省エネルギー化を実現するためには,低温でガス化する必要がある。このため,今後の研究において触媒担持を行い,特に、ガス化反応速度に及ぼす触媒担持率の影響について詳細に明らかにする。
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