2011 Fiscal Year Annual Research Report
弾性平板上に生成される純粋進行波を利用した水中推進機構の推力向上と横力低減
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22560219
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
松村 雄一 岐阜大学, 工学部, 教授 (20315922)
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Keywords | 機械力学・制御 / 振動制御 / 制御機器 / 生体力学 / バイオ流体力学 / 弾性板型水中推進 / 進行波推進 |
Research Abstract |
本年度の目標は,フィードフォワード型インピーダンス整合制御の実現可能性の検証と,並進力と回転力を同時に与えてインピーダンス整合制御と前端部ピッチ角制御,前後進切換え制御の3つの制御性能を同時に検証することであった。これらの目標の下に研究を遂行した結果,以下の通りの成果を得た。 (1)フィードフォワード型の制御力算出式を導出し,任意の駆動周波数において,純粋進行波を生成する実験に成功した。はりの無反射端インピーダンスを実現するには,駆動力によって発生する伝播波と近接波の成分を同時に制御する必要がある。駆動周波数が低いほど近接波が制御端にまで到達しやすいため,この影響を回避しない限り,任意の推進速度で推力を発生できない。そこで,任意の点の近接波も含んだ波動から制御力を算出する式を導き,これを適用した実験によって,任意の周波数で定在波率が1に近い純粋進行波を生成できることを示した。 (2)偶力の概念を用いて並進力と回転力を同時に与えられる仕組みを導入し,上記(1)に示した理論通りの制御力を与えることに成功した。弾性平板の後端に設けた剛体板の両端にアクチュエータを接続し,並進力と回転力を同時に与えた。これにより,はりにおいても伝播波と近接波の両方を制御し,純粋な進行波を生成することに成功した。当初の予定であるピッチ角制御や前後進切換え制御の検証には到達できなかったが,この剛体平板を前端にも設けることで,すぐにでもこれらの検証を実施できる。 また,目的の一つである推力向上のため,魚体のようなくさび形はりを弾性平板とした場合の推力向上効果の検討も始めた。くさび形はりに波動を送る場合,後端にいくほど振幅が増加して推力向上に効果的である反面で,後端ほど位相速度が低下し,前端と後端の位相速度の差が推進の抵抗成分として働く。この程度を有限要素解析によって定量化し,適度なテーパ角を導いた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,当該手法に基づく水中推進機の推力向上,外乱対策,振動横力低減の3つとしている。この中で,推力向上については,ピッチ角制御のための剛体平板駆動の導入に成功しており,振動横力の低減については,今後,実験機を製作するのみで検証可能な段階にある。一方,外乱対策については,昨年度の研究で,当初予定のフィードバック方式制御は実現困難であることが判明して中断する形になっているが,当初の予定に組み入れていなかったくさび形はり状の弾性平板による推力向上効果を検討し始めるなど,当初計画より進んでいる部分もあり,全体としては概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,本研究の3つの目的の中の2つである推力向上と横力低減を完遂するように研究を推進する予定である。残りの一つの目的であった外乱対策については,昨年度の研究を通して,当初予定のフィードバック方式制御が実現困難であることが判明し,その対策も立たない状況にある。そこで,代替案による外乱対策の検討も継続する一方で,推力向上の強化策として,くさび形はり状の弾性平板を用いる方式を新たに検討し,従来のピッチ角制御だけに頼らない推力向上のための方向性も探っていく予定である。
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