2011 Fiscal Year Annual Research Report
ピストンスラップによるライナーキャビテーション発生に関する研究
Project/Area Number |
22560227
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
太田 和秀 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (60403929)
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Keywords | 内燃機関 / キャビテーション / ライナー / ピストンスラップ / 圧力変動 / 冷却水室 |
Research Abstract |
内燃機関におけるライナーキャビテーションの励振源である,シリンダーや冷却水室壁面の振動応答を予測する手法を開発した.本手法を用いれば,多気筒エンジンで連続的に発生するピストンスラップによる冷却水室の加速度振動応答の予測が可能となる.また,ピストンクリアランスの変更などによる壁面振動の低減効果の定量的予測が可能となる. また,実機エンジンの冷却水室形状をCADデータなどを基に詳細に調査し,複雑な形状に対応した有限要素法(FEM)音場解析モデルを作成して固有周波数/固有モード解析を行い,実機エンジンを用いた実測結果と比較した.H22年度に作成した境界要素法(BEM)による簡略モデルを用いた解析結果に比べて,FEMによる詳細モデルを用いた解析結果ははるかに実測結果とよく一致し,複雑な形状を忠実にモデル化する必要性を確認することができた. 境界要素法(BEM)+フーリエ級数展開やFEM+モード解析法を用いる壁面振動による冷却水室内圧力変動解析法を提案し,それらの妥当性を検証するために端面を加振して内部の圧力変動を計測可能にした矩形形状容器を製作して実験を行った.媒質が空気の場合の計算結果と実測結果は十分な精度で一致したが,媒質が水の場合は端板加振時に流体を介した側板との連成振動が強く表れ端板の振動のみを入力とした解析結果では実測結果を十分説明できないことが判明した.H24年度研究で矩形形状実験装置を用いた実測結果を説明できる,構造/音場連成振動応答解析法を開発するとともに,実機エンジン構造への適用を推進する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ピストンスラップによる壁面振動応答解析法はほぼ確立.壁面振動による冷却水室内圧力変動解析法は実測結果と比較し,空気媒質の場合はその妥当性を確認できた.また,水媒質の場合は流体負荷が大きいので,構造/音場連成振動特性を考慮する必要があることが明らかになった.
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Strategy for Future Research Activity |
水媒質の場合の流体/構造連成振動振動解析法については流体の影響が無い構造単独の固有振動特性と構造が剛な場合の音場の固有振動特性を用いたモード展開による連成振動解析法を構築していく予定である. また,キャビテーション発生時の気泡による音速の低下を局部的に考慮するために音場解析には有限要素法を適用していく.
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