2011 Fiscal Year Annual Research Report
高速走行体の地震時走行安定性向上技術に関する基礎研究
Project/Area Number |
22560228
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
新谷 篤彦 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (90295725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 智博 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60347507)
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Keywords | 機械工学・制御 / 交通工学・国土計画 / 地震 / 減災 / 耐震 |
Research Abstract |
近年,世界的動向として,経済効率追求などのため,物資や人の輸送は高速化する傾向にあり,列車の速度も500km/hの超高速に突入しようとしている.一方,近年巨大地震の多発や,地球温暖化の影響により,地震外力や風荷重が巨大化しつつある.そのため,列車が脱線,転覆する危険性が増大しつつある.そのような危険を未然に防ぐためには高速走行体の地震を受ける時の動的な安定解析が不可欠である.これまでの研究では準静的な解析が多く,大規模な地震時の動的な応答に関するものはあまり見られない.本研究では高速走行体の比較的簡単なモデルに基づく大規模地震時の動的挙動解析を行い,地震時走行安定性を向上させるシステム構築のための基礎研究を行う. 平成22年度は車体,台車,輪軸,乗客からなる1車両全体のモデリングを行った.それを受けて平成23年度は走行安全性における地震の影響について検討を行った.特に水平方向地震,鉛直方向地震の単独の影響,および水平動上下動連成作用の影響などを検討した. 具体的には新潟県中越地震,兵庫県南部地震,東北地方太平洋沖地震などの特性の異なる様々な地震波を用いて,走行安定性における地震加速度振幅の影響,地震波の卓越周期の影響などを明確にすることが出来た.また,水平方向地震と鉛直方向地震の入力時刻をずらして両者の時間差の,走行時の安定性への影響を検討したところ,水平方向地震と鉛直方向地震の最大加速度の発生時間がほとんど重なると2つの地震が強調しあい,転覆の可能性をより大きくすることなどが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「9.研究実績の概要」にも示したように,今年度の予定であった,走行安定性における地震加速度振幅の影響,地震波の卓越周期の影響,水平鉛直方向の連成作用の影響などを調べることができたため,おおむね計画通りに順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究によって高速走行体のモデリングが行えた.また,今年度の研究によって地震の影響について検討が行えた.これらを受け,よって来年度はこれまでの非線形支持構造に代わる高機能な非線形支持構造を開発し,より安全に車両の状態を維持するための基礎技術を構築する.これまで通り,研究代表者,研究分担者,補助の大学院生が密に連絡を取り合いながら多面的な検討を進めることで,研究が推進されると考える.
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