2011 Fiscal Year Annual Research Report
軽度下肢障碍者の一般トイレ利用を可能にする新しい移動システムの開発
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22560239
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
森 善一 茨城大学, 工学部, 准教授 (70305415)
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Keywords | 人間機械システム / 福祉用ロボット |
Research Abstract |
本年度における主な研究課題は,「システムの実現可能性の検証」,ならびに「健常者・下肢障がい者の特性やデータに基づいた各モジュールの最適化」であった.しかしながら,研究を進める中で,下肢関節駆動機のアクチュエータとして,研究当初の電気モータよりも,研究課程で想起したガススプリングの方がシンプルなシステムの開発が可能であることが分かったので,実用的なシステムの開発のために,機器の再設計を行った. ガススプリングは,立位動作時において身体を持ち上げることを補助するバネの要素と,着座動作時において緩やかに着座できるダンパの要素を持ち合わせている.そして立位態での位置エネルギーと,座位状態での位置エネルギーの差をガススプリングに補充し,座位状態から立つ瞬間に,ガススプリングに回収されたエネルギーを放出する.すなわち,利用者自身の位置エネルギーを回収し再利用する仕組みである.本研究では,着座時において脚が戻らないようにブレーキ付きのガススプリングを使用し,杖に設置したレバーでブレーキを解除できる機構とした.大腿の筋電位を計測したところ,補装具の使用により,平均値では通常の起立動作より筋負担の27.8%を軽減し,また,最大値では83.7%の筋負担の軽減を実現した.なお,本システムの力学解析には,3D-動力学ソフトMSC.ADAMSを用いて行った. その他,膝関節については,関節軸がわずかな範囲だけ自由に移動できるように工夫することにより,ロック時においても約15 degの屈曲を実現し,これにより,利用者は拘束の少ない歩行移動が実現できた.またこの工夫により,着座動作時に必要な体重によるトルクを発生しやすくなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請当初の計画では,システムの基本モジュールの一つである下肢関節駆動機の動力機構に電気モータを使用する予定であったが,実験過程において動力機構をガススプリングに変更することでシンプルな機器が低コストで作製できることが判明したため,繰越申請を行い,6月まで期間延長を行ったため.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は,ガススプリングを下肢関節駆動機に用い,「伸縮ロフストランドクラッチ」と「下肢関節駆動機」の組み合わせによるシステムを構築したが,「伸縮ロフストランドクラッチ」に“ロッキングチェア”の機構を取り入れることで,「下肢関節駆動機」をなくすことができる可能性がある.そこで今年度は新しいシステムの製作,および実験を行う予定である.
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Research Products
(2 results)