2011 Fiscal Year Annual Research Report
統合脳活動計測による匠の技の脳科学的解明およびバーチャルトレーニングへの応用
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22560241
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
綿貫 啓一 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (30212327)
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Keywords | 技能伝承 / 脳科学 / 非侵襲型脳機能計測 / バーチャルリアリティ / 拡張現実感技術 / 力覚提示 / デザインレビュー / 人材育成 |
Research Abstract |
平成23年度においては,以下の研究成果を得たので報告する. (1)NIRS(近赤外分光脳計測装置)およびEEG(脳波計)の統合計測システムの構築 頭部や筋肉などの生体組織に対して透過性が高い近赤外光を外部から照射し,組織を透過してきた光を分析することにより,組織を流れている血液中のヘモグロビン酸素化状態を外部から非浸襲的に脳活動を計測した.また,NIRSおよびEEGシステムの統合システムを構築した. (2)脳活動計測システムによる脳活動情報の抽出および分析 熟練技能者と初心者に,作業中の視覚・聴覚・触覚等の刺激情報を受けたり,運動を行ったりしたときの脳の活動状態をNIRS-EEG統合脳活動計測システムにより計測し,その解読を行い,作業者のある特定の活動をするときに脳のどの部位が関わっているのかを調べた. (3)複合現実感技術を用いた技能伝承およびデザインレビュー支援システムの開発 現実世界へ仮想物体を違和感なく合成するためには,現実世界の座標と仮想物体の座標との位置合せが重要であり,カメラの位置合せは,ARToolKitを用いて独自マーカーにより行った.本研究では,複合現実感技術を用いて,実際の製品に近い形態で表示し,視覚情報のみならず力触覚情報を融合してボリューム感や重量などを知覚でき,複数の人間が容易に体験しながらコミュニケーションできるタンジブルなデザインレビューシステムを開発し,鋳造製品のデザインレビューに適用した. (4)没入型仮想共有環境システムでの実証試験および質的分析 「匠の技の質的分析」の研究成果を踏まえて,没入型仮想共有環境システムに教育対象に応じたコンテンツを表示し,現場作業の仮想的な体験を通じて非熟練技能技術者の教育支援を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
統合計測システムにより脳機能を計測するとともに,皮膚血流や外乱など除去する信号処理技術を開発し,脳機能解析の高度化を図ることができた.そのシステムにより,技能伝承の脳科学的解明に大きく寄与した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初計画どおり遂行し,技能伝承の脳科学的解明およびバーチャルトレーニングの高度化に努める.
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