Research Abstract |
本研究は,昆虫などの小型生物の表面の構造と機能を規範とし,MEMS技術を用いて,ロボットの表面部材に,可動機構,センサ,制御回路,機能性マイクロ構造などを集積化し,折り曲げなどを利用して組み立てることにより,小型自律移動ロボットを構成することを目的とする. 平成22年度は,まずロボットの表面部材として,MEMSプロセスと相性がよく曲げ加工が容易な真鍮の薄板を選定した.次に,真鍮板の表面に昆虫の感覚毛を模した気流センサと制御回路用の配線を集積化する技術を開発した.製作したセンサを評価し,単純なon-off型センサを複数用いることにより気流の強さを検出できることを確認した.さらに,センサ等を集積化した真鍮板をロボット本体を展開した形状に加工し,折り曲げにより立体化し,電池,モータ,ワンチップマイコンを実装して移動ロボットを製作した.動作実験を行った結果,気流の強さに応じて異なる行動を発現することを確認した.以上の手法により,ロボットの機構,センサ,回路をMEMS技術により一体成型し,小型化,多機能化を実現することが可能になった. また,昆虫の脚や翅にみられる超擬水表面をロボットの表面部材に集積化するための基礎実験として,シリコンウェハ上にMEMS技術を用いて3次元の微細構造を加工し,撥水剤を塗布することにより,接触角170度以上の超撥水面が得られることを確認し,さらに微細構造の形状と撥水性,離水性などの関係を明らかにした.以上の研究成果により,交付申請書の研究計画に記載した「要素技術の開発と評価」の目標を達成することができた.
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