2011 Fiscal Year Annual Research Report
機能性微細構造を表面に集積化した小型移動ロボットの研究
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22560248
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
鈴木 健司 工学院大学, 工学部, 教授 (50251351)
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Keywords | MEMS / 機能性表面 / 移動ロボット / 表面張力 / 微細構造 / 濡れ性 |
Research Abstract |
本研究は,昆虫などの小型生物の表面の構造と機能を規範とし,MEMS技術等を用いて,ロボットの表面部材に可動機構,センサ,制御回路,機能性マイクロ構造などを集積化し,折り曲げなどを利用して組み立てることにより,小型自律移動ロボットを開発することを目的としている. 平成23年度は,MEMS技術に加えてフェムト秒レーザー加工も導入することにより,ワイヤ表面などの曲面上に微細構造を加工することが可能になった.撥水性表面については,直径0.5mmの真鍮ワイヤ上にフェムト秒レーザーにより25μm間隔の直線状の溝を加工し,撥水剤を塗布することにより接触角160°の高撥水面を得ることができた.また,製作した撥水性ワイヤを支持脚に用いて,水面上を移動するロボットを製作した.ロボット本体もフェムト秒レーザーで加工することにより,質量をモータやバッテリを含めて4.39gまで軽量化し,最大59.2mm/secの速度で自立移動できることを確認した.また,付着性表面に関しては,PDMSとガラスを複合化し,垂直方向と接線方向の両方向に付着力を発揮する付着パッドを開発した.さらに多孔質材料に液体を含浸させ付着面に液体を供給することによって,付着性を持続させることが可能になった.また,開発した付着パッドを利用し,一枚の薄板材料を折り曲げて立体構造を組み立てることにより壁面歩行ロボットを製作した.以上の成果により,「表面機能を有する微細構造の創成」と「表面機能を利用した移動ロボットの製作」の研究計画をほぼ達成することができた.また,ロボットの制御に関して,反射行動を組み合わせて歩容の生成や状況に応じた行動を可能にする制御手法を開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究には3つの目的がある.第1の目的である「ロボットの表面部材への機能性マイクロ構造の集積化」については,撥水性,付着性,センサなど種々の機能を持つ表面の製作が既にできており,今後,複数機能の集積化を行うことで目的が達成される.第2の目的である「表面部材の折り曲げによる立体化技術」は現在までにほぼ確立している.第3の目的である自律小型移動ロボットの製作については,単機能の様々なロボットができており,今後は機能の複合化,表面機能とロボットの性能の関連性の評価などを進めていくことにより,研究期間内に目的を達成することは十分に可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,種々の機能の複合化を行い,多機能かつ自律的なロボットの製作を目指す.例えば,複数のセンサをロボット表面に集積化し,様々な状況に対応できるロボットを製作する.また,水面移動ロボットに関しては,撥水性の脚と,表面実装型センサを組み合わせ,周囲の状況に応じて自律的に移動可能なロボットを製作する.当初の計画である一つの部材に多数の機能を集積化することは,加工上の制約で困難な場合もあるため,複数の部材を組み合わせることも視野に入れて問題を解決する.さらに撥水性,付着性などの表面機能とロボットの性能との関係を明らかにし,表面機能の応用技術を確立し,より高性能なロボットの製作を目指す.得られた成果は,査読付論文,国際会議等で積極的に発表する.
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