Research Abstract |
異分野に属する,粉末冶金を基本とする積層セラミック技術とシリコンウエハを材料とし半導体ICに用いるフォトリソグラフィーを施すMEMS技術を互いに導入することによって、電磁誘導型パワーMEMS素子を開発している。巻き線構造,多数積層が不得手なMEMS技術においては、電磁誘導方式の適用は不利とされていたが,これまでの静電方式に比べ,大きな電流を取り出すことができる可能性があり,その適用が期待されてきた。このような状況で,これまでに様々な機関で,MEMS技術によって形成された,シリコン上のスパイラルコイルにめっき等を施して,巻き線コイルを形成し電磁誘導方式を適用する研究がおこなわれてきた。しかしながら,磁性体の適用は行われてはこなかった。磁性体を適用することによって,効率よく磁束を取り込め,大きな出力が期待でき,また,巻き線の長さを短くすることによって,内部抵抗値を下げる効果があると見込める。本課題においては、積層セラミック技術を適用し,磁性体セラミック内部に巻き線導体を形成すした。 このことによって,初年度の昨年度は,3mm程度の立方体にMEMS技術によるエアタービンと積層セラミック技術による磁気回路を組み合わせ、圧搾空気によって発電を行う小型電磁誘導型MEMS発電機の開発をおこなった。その結果,この方式で出力を得ることができた。本年度は,異型積層セラミック技術を適用して,磁気回路を詳細に検討し,より大きな出力を得ること,また,シリコン各層のずれを低減すること,さらに,シリコン層間及び,磁性体セラミックス層の接着方法を検討することを計画した。 検討の結果,異型積層セラミックの構造を詳細に検討し,シリコン層間のピンアライメント方式の改善,平坦になるような樹脂接着の適用で,理論値の19%程度まで改善することができた。さらに磁性体を用いない場合に比べ内部抵抗を1/4程度まで,低減した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では,1磁気回路を詳細に検討し,より大きな出力を得ること,2シリコン各層のずれを低減すること,3シリコン層間及び,磁性体セラミックス層の接着方法をそれぞれ検討することとした。 検討の結果,異型積層セラミックの構造を詳細に検討し,シリコン層間のピンアライメント方式の改善,平坦になるような樹脂接着の適用で,理論値の19%程度まで改善することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
出力はタービンが高回転であればある程大きくなる一方で,小型タービンロータの安定した高速回転が課題となり,たとえば,現在のところ100,000rpm程度の達成が目標となっている。また,ステータ全体を磁性体にすることで,より磁束を取り込める見込みであるが,ステータの翼部分の寸法精度を得ることが,なかなか難しく課題となっている。
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