2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560272
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 修 京都大学, 大学院・工学研究科, 講師 (70093333)
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Keywords | 真空 / 固体絶縁物 / 帯電現象 / コンディショニング現象 / 沿面放電 / 絶縁設計 / 放出ガス / フラッシオーバ機構 |
Research Abstract |
真空中の沿面放電では二次電子なだれによる絶縁物表面の帯電が放電の引き金になると考えられている。一方、真空沿面放電には顕著なコンディショニング(火花化成)現象がある。本研究はこのようなコンディショニング現象を含む放電機構を明らかにし、真空遮断器の絶縁設計などに極めて重要な現象を明らかにすることを目的としている。平成23年度の計画に沿って円柱型アルミナ試料に対し次の結果を得た。 1.絶縁物試料の表面粗さを部分的に変えることにより帯電領域を自由に制御することができることを利用し陰極側の狭い表面領域(円周状)のみを帯電させ、放電発生までの陰極電界を静電プローブによりオンラインで測定した結果、放電電圧は帯電領域の拡大とともに低下することを明らかにした。また、放電直前の陰極3重点における電界は帯電領域の大小にかかわらずほぼ一定の電界強度であることを明らかにした。 2.放電進展の光学観測を静止カメラと高速ビデオカメラで行った。この実験では印加電界の方向に帯状に表面粗さを変えることにより、印加電界分布を大きく変えることなく帯電領域のみを変え、放電路をコントロールして観測の効率を上げることに成功した。また、このような3次元の帯電分布の解析法の開発にめどを立てた。 3.四重極ガス分析計を用いて放電前後に試料表面から放出される気体分子の種類の同定を試みた結果、水素や窒素などが関与している結果を得た。 以上のように、ほぼ当初の23年度計画に沿って研究を進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の当初計画は静電プローブにより陰極電界を計測して放電機構との関係を検討すること、高速度ビデをカメラによる放電家庭の観察を効率的に行う方法を確立すること、4重極ガス分析計によりフラッシオーバに関係する吸着ガス分子の同定を行うことが主要な目標であったが、実績概要に述べたとおり、ほぼこの計画に沿った成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では当初計画通りに平成22年度および23年度両年で実験的なデータをほぼ取得しているので、平成24年度はこれらのデータをより詳細に吟味して放電機構を明らかにするとともに、放電電圧を定量的に予測する理論式の検討を行い、これらの成果をまとめる。
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Research Products
(2 results)