2011 Fiscal Year Annual Research Report
パルスパワーを用いたバイオマス燃料製造技術の研究開発
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22560275
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
下村 直行 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (90226283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 研二 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (80435403)
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Keywords | バイオマス燃料 / 微細緑藻 / パルスパワー / エレクトロポレーション / 増殖活性化 / バイオエレクトリクス |
Research Abstract |
バイオマス燃料として注目される緑藻であるが,その製造技術が実用化に向けた最大の問題点であり,2つの側面から効率的な製造技術の開発に着手している。 1つが油性分抽出技術に関するもので,高電界パルスあるいは水中パルス放電により藻細胞壁を穿孔して油性分抽出の高効率化を図る。22年度に加えて,いくつかの電界印加容器を製作し,パルス幅の異なる数種のパルス幅のパルスパワー発生装置を製作して,パルス電界印加実験を行った。いくつかの実験条件では,緑藻はほぼ透明(白色)に変化し,この条件では穿孔が行われていると考えられる。その条件は概ね注入エネルギーが大きい設定であったが,実験の再現性が高くなく,断定するには至らない。100μから10ミリ秒のパルス幅のパルスパワー発生装置に関しては,安定動作が得られず,信頼性の高い実験を行うには至らなかった。 もうひとつが,パルス電界による緑藻の活性化実験である。バイオ撚料の原料として,対象植物の増殖・生長速度は最も重要な項目の1つであり,パルス電界により増殖・成長が促進すれば,有効な製造技術となりうる。パルス印加後に緑藻を増殖させる容器を製作した。これにより効率よく安定した実験が可能になった。また予備的な実験により吸光度と緑藻の濃度を結び付ける関係を求め,さらに定量的な判断が可能になった。これらを用いて印加実験を行った。主に印加電圧が大きく,またパルス印加回数が一定数より大きい条件で,パルスを印加しないコントロールに比べて緑藻は増殖していた。しかしこのような条件付近の実験では穿孔実験で述べた透明化がしばしば観測された。増殖についてもその効果は十分ではなかった。これらの結果から,増殖を活性化する条件と緑藻にダメージを与える条件が比較的近い条件として存在していると考えられ,効率的に実験を行うにはより精度の高い実験が必要であると分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験は進んでいる。しかし,生物を対象にした実験であり,その対象の状況によって実験結果が大きく影響を受け,実験の再現性が実験の進展の妨げになっている。実験結果の異なる実験条件の敷居が微妙で,再現性の問題と重なって,実験に求められる精度が高い。また製作した実験装置の安定性が問題となっていたが,この原因がノイズにあることが分かった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置,実験条件,増殖装置などのそれぞれの精度を高める。その上で多くの実験条件を,また多くのサンプルに対して実験を行う。これにより,穿孔,増殖活性のそれぞれの実験に対して最適条件を見つける。製作した実験装置の安定性に関しては,その原因がノイズに特定されたので,この対策を十分に行い,実験を進める。また十分な実験サンプル数を確保するために,増殖装置の改良を進める。
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Research Products
(2 results)