2010 Fiscal Year Annual Research Report
蛍光ランプの放電生成・維持機構の解明と最適制御による高効率・長寿命化
Project/Area Number |
22560277
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山形 幸彦 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (70239862)
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Keywords | 蛍光ランプ / 省エネルギー / 長寿命化 / エミッター / レーザー誘起蛍光法 / 熱放射スペクトル法 / 電極温度分布 / 熱陰極グロー放電 |
Research Abstract |
蛍光ランプ(FL)のエミッター粒子(Ba原子)放出と電極温度分布の相関解明を目指し,レーザー誘起蛍光法によるBa原子の時間・空間分布密度計測,熱放射スペクトル法による電極温度の時間・空間分布計測を行った.特に,ガス種と圧力がエミッター放出と電極温度分布に与える影響を調べ,放電の内部パラメータと電極の熱伝導をリンクさせたシミュレーションのためのデータ取得を行うとともに,外部加熱電流(I_f)による電極温度分布の制御を試みた.その結果,Arより電離断面積の大きなKrを10%程度まで混入すれば,Hgの発光強度に強く依存する放電電流(I_d)を高い値に保ったまま放電維持電圧を低減でき,発光効率が向上する事を示した.一方で,純Ar用に経験的に最適化されているフィラメント電極では電源接続側電極端に形成されたホットスポット温度が上昇しエミッター放出量が増加した.高効率で長寿命のFL設計のためには,ガス種と圧力に応じた最適なフィラメント電極設計が必須であることを改めて示した.また,通常のFL動作ではI_dの空間的偏在により電極内に極端な温度勾配が生じるが,電極内をほぼ均一的に加熱できるI_fを流す事で,電極内の電位分布を変化させてI_dの空間分布も制御でき,その相乗効果として表れる電極温度分布を制御できる事が明らかとなった.特に右とI_dとI_fの位相を制御すれば,ホットスポット位置とその温度も制御可能で,電極温度分布の偏りと平均温度を低く抑えることができ,放電維持に十分な熱電子放出量を確保したままエミッター放出の低減が可能であることが示された.本年度の研究により,ガス種や圧力,位相も考慮した外部加熱電流I_fによる電極温度分布や放電状態の変化など,次年度以降のシミュレーションを行う上で重要な知見を得た.
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