2011 Fiscal Year Annual Research Report
リップルを含んだ電流による超伝導体の通電損失に関する研究
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22560278
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田部 荘司 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 教授 (30231236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木内 勝 九州工業大学, 大学院・情報工学研究院, 准教授 (90304758)
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Keywords | 交流損失 / 超伝導体 / リップル / 直流通電 / 電力ケーブル / 有限要素法 |
Research Abstract |
超伝導体は直流時に本来の抵抗ゼロの性質を最も発揮できる。したがって、交流電力ケーブルではなくて最近は直流電力ケーブルの研究が進んできている。しかし既存の電力システムは交流であるので、直交変換をする必要がある。通常はこの変換を行うためには、大きなインダクタンスを必要とするためにコストがかかる。もしこのリアクトル部のコストを抑えると、交流リップル分が残留することになる。このリップル分によりわずかながら交流損失が発生する。このリップルによる交流損失を見積もることにより、冷却コストの兼ね合いでシステム全体のコストを抑えることが可能となる。つまり、インダクタンスのコストを下げても冷却コストが上がらなければシステムのコストを下げることができる。したがってリップルの交流損失の正確な見積もりが必要である。 今年度は理論計算をおこなった。臨界電流密度の磁場依存性には、磁場依存性を無視したBeanモデルではなくて、Irie-Yamafujiモデルを用いた。円柱状の超伝導体に直流電流と重畳した交流電流を通電した際に内部の磁束分布を計算した。実際の電力ケーブルでは、薄い超伝導テープをらせん状に配置した構造が考えられるが、これは円柱超伝導体の表面付近にのみ電流が流れている状態と同じである。交流一周期分の磁束分布から交流損失を見積もることができる。これによるとリップル電流の大きさによっては、交流損失が直流電流の無いときよりも下がる領域があることが分かった。ただし実際の電力ケーブルの運転を考えると大きな直流電流に小さい交流電流が重畳されていることになり、その際には若干交流損失が大きいことがわかった。いずれの場合でも、交流損失は単純なBeanモデルで予想される値よりも小さく、理論的に損失を見積もることが可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国際会議でこれまでの結果をまとめて発表し、論文として提出して査読を終了し受理されている。したがって、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
理論計算についてはだいたい完成したので、有限要素法により数値計算ができるようになりたい。有限要素法により任意形状のケーブルについて損失を計算することが可能となる。したがって、来年度は有限要素法による数値計算の確立をおこなう。
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Research Products
(2 results)