2011 Fiscal Year Annual Research Report
非線形インピーダンスモデルによるフォースフィードバックコミュニケーションの実現
Project/Area Number |
22560280
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
村上 俊之 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (00255598)
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Keywords | 非線形インピーダンス制御 / 仮想インピーダンス制御 / ステア・バイ・ワイア / 電気自動車 / 運転支援制御 / マスタ・スレーブ制御 / 力センサレス制御 / 車間距離制御 |
Research Abstract |
本年度では,まず昨年度において構築したモデル予測制御による電気自動車の運転支援システムに基づいて,運転操作性向上のための非線形インピーダンスモデルの設定アルゴリズムの構築を目指し,危険性認知の制御および負荷低減制御(パワーアシスト制御)との融合を試みた.特に,人の操作性向上を促すステアリングハンドル,アクセルペダル,ブレーキペダルの非線形インピーダンスモデルを用いた協調制御器の設計手法を確立し,危険性認知の制御と操作性向上制御の融合制御を実現した.構築した融合制御については,車間距離制御を踏まえた自動車のカットイン,カットアウト等の具体的な走行状態へ適用し,ドライビングシミュレータを用いた検証実験によりその有効性を確認した. 人の操作意志推定に基づいた負荷低減制御(パワーアシスト制御)と危険性認知制御の融合制御の検証にあたって,本年度当初において,電動車椅子を用いた検証を考えていたが,まずはステアリングハンドルの基本的な制御構成を決めているステア・バイ・ワイアシステムの特性解析を行うことを優先した.特に,人の意思決定遅れ(操作遅れ)に対するステア・バイ・ワイアシステムの安定性をマニピュレータによるマスタ・スレーブシステムを用いて検証した.その結果,仮想インピーダンスモデル(非線形インピーダンスモデル)に基づいたカセンサレスによる力帰還型のマスタ・スレーブ構成が最適であることをシミュレーションおよび実験により明確化した. 上記に加え,本年度は多自由度双腕移動マニピュレータを用いた車椅子の押し動作において非線形インピーダンス制御の有用性について検証を行った.特に,床環境から受ける反力情報に基づいて押し動作における並進方向および旋回方向のインピーダンス特性を変更することによって,押し対象物の軌道追従性および安定性(低振動性)を向上できることを確認している.このアルゴリズムは電気自動車の運転操作支援制御へも拡張可能と考えられ,適用時には乗り心地改善等も期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の当初の計画では,電動車椅子を用いた実験評価を予定していたが,非線形インピーダンス制御の適用を検討している電気自動車のステアリングハンドルすなわちステア・バイ・ワイアシステムの最適制御構成の検証を行うこととした.そのため,ステア・バイ・ワイアシステムと等価的な構成となるマスタ・スレーブシステムを利用して,時間遅れを伴うマスタ・スレーブシステムの最適制御構成を検討し,ステア・バイ・ワイアシステムの制御構成としてはカセンサレスでの力帰還型が最も適切であることが明確となった.
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Strategy for Future Research Activity |
非線形フィードバック制御のための基本的なフォースフィードバック制御構成が明確となったので,引き続き電気自動車への安全運転支援制御への応用を検討する.特に,レーザレンジファインダによる車間距離測定に基づき,車間距離制御への適用を実験的に検証する.さらに,電動車椅子への適用も考察し,車椅子搭乗者の状態計測に基づいた乗り心地向上や安定性の改善を含む実験的な検証を行う.
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