2011 Fiscal Year Annual Research Report
風力発電導入量拡大のための風速変動高精度予測・電圧制御手法の研究
Project/Area Number |
22560282
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
熊野 照久 明治大学, 理工学部, 教授 (80371243)
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Keywords | 再生可能エネルギー / 自然現象観測・予測 / 新エネルギー / 電力工学 |
Research Abstract |
本研究では風力発電所の風速変動を予測し,これに基づき出力を安定化する予測制御手法を開発する。風力発電大量導入に関わる問題として,自然現象特有の不規則な風速変動に起因して出力が変動するという点が挙げられる。発電出力が変動すれば,これに呼応して系統電圧が変動し,場合によって正常範囲を逸脱する可能性があり,風力発電導入の制限要因となりうるからである。本研究により開発する手法を用いることで,風速変動に起因する電圧変動を予測・制御し電圧の逸脱を最小限に抑えることができれば風力発電の導入推進が図られる。 平成23年度は,平成22年度に導入した風解析用数値流体解析システムと当研究室で既開発の2次元流体解析プログラムを併用して風速変動予測を実施し,風速変動の実データとの比較を通じて手法の精度改善を進めた。これらの成果については電気学会の部門大会および全国大会にて発表した。 さらに年度当初の計画になかった事項であるが,上記の解析に基づいて,より容易に風速変動を予測することのできる手法であるTM(地形影響マッピング)を開発した。これを気象庁の配信するGPV予測データとともに使うことによって,さらに長時間先の風速変動も予測できることが分かった。この成果については再生可能エネルギーと電力品質に関する国際会議(ICREPQ'12)にて発表を行った。 また,電圧制御に関しては,電力系統内の電力貯蔵システムとして電池電力貯蔵システム,特にプラグインハイブリッド自動車あるいは電気自動車に着目して,これらを可能な範囲で制御することによって,さらに風速変動の影響を抑えることができないかの予備検討を行った。現在までのところ良好な結果が得られたので,今後のさらなる研究展開につなげる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画である風速変動については,ある程度の精度で予測ができる見通しが得られ,電圧制御についても有効性の基本的な確認がとれた。さらに,当初計画にはなく,より難しい課題ともいえる長時間風速変動予測についても数値流体解析の手法によって精度がどのように影響されるかを検討し,精度改善のための具体的な方策や有効な手法が見出されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の範囲外ではあるが,より重要ともいえる長時間風速変動予測について,さらに重点的に検討する。短時間風速変動については,系の非線形性によって風速変動波形を逐一高精度に予測するのは難しいので,この領域で最も実用上重要と思われるカットアウト付近の強風の短時間予測の高精度化に絞って検討を続行する。電圧制御については,電池電力貯蔵システムを有効利用する,これまでどおりの方針で研究を続行する。
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