2011 Fiscal Year Annual Research Report
12パルス整流回路を用いた低コストで信頼性が高い風力用IPMSGシステム
Project/Area Number |
22560289
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
西田 克美 独立行政法人国立高等専門学校機構 宇部工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (40413835)
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Keywords | 12パルス整流回路 / 系統連系インバータ / 風力発電 / LCLフィルタ / 埋込磁石同期発電機 / MPPT制御 |
Research Abstract |
系統連系インバータと系統間に単一のLやLICフィルタではなくLCLフィルタを設置すると,PWM周波数が低い大容量風力発電用インバータであってもグリッド注入電流に含まれるPWMリップル周波数成分を効果的に低減できる。本研究では逆潮流電流制御を有限時間整定制御で行うことで,応答性と安定性のいずれも確保することを目的としている。先行研究は,ボード線図等の周波数応答を基礎にしてLC共振の抑制を眼目とした制御器の設計をしており,応答速度に関しては十分ではない。 最初のLCLフィルタ回路の状態方程式の導出では,状態量を三相量のままではなく,瞬時空間ベクトルに変換することで,次数が9から3へ,見かけ上低減されている。次に離散値系の差分方程式をラプラス逆変換を用いて導出した。その差分方程式から3サンプル先に状態量を目標値に一致させる有限時間整定制御則を導いた。制御則は状態帰還式となっているのでDSPのプログラム化等の実際の適用は容易である。さらに状態量の検出は,インバータ出力電流のみとし,他の状態量,キャパシタ電圧とグリッド注入電流を推測で算出する状態推定式も導いている。 当該理論の有効性はシミュレーションと実験で確認した。シミュレーションによって,導出した有限時間整定制御則と状態推定式が正しいことが確認された。また,実験によって,検出する状態量が,インバータ出力電流ではなくグリッド電流であっても,同様の応答性と安定性が確保できることが確認された。実験は,インバータモード(=逆潮流モード),STATCOMモード,コンバータモード(=整流器モード)の3通りの場合で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Back to Backシステムの前段の整流を行う変換器に12パルス整流回路が採用されている点が本研究の最大の特徴であるが,その結果複雑な制御を必要としない信頼性の高いシステムが構築されている。実験による提案方法の有用性の検証が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
風車のトルク特性を模擬するために埋込磁石同期発電機(IPMSG)駆動を,トルク制御が可能なインバータシステム設置の電動機で行う。当実験を通して,システムの総合効率(系統注入電力÷風力タービンに流入してくる風のエネルギー)が算定できる。
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