2011 Fiscal Year Annual Research Report
IV族系化合物半導体の結晶構造改変による新機能創出と熱電変換素子への応用
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22560294
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
立岡 浩一 静岡大学, 工学部, 教授 (40197380)
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Keywords | シリサイド / 熱電素子 / 結晶成長 / 自然エネルギー / ナノ構造制御 / 酸化 / メカニカルアロイング / 焼結体 |
Research Abstract |
(1)元素置換反応法によるp型Ca系IV族化合物の作製 元素置換反応法により作製したp型Ca_2Siの低抵抗化を試みた.低抵抗Siを用いた場合には顕著な効果は見られなかったが,Na化合物を用いたNaドーピングではNaI,Na_2CO_3を用いることにより凡そ1桁の低抵抗化が得られた.この材料は室温から300℃付近でおよそ300μV/Kと大きなゼーベック係数をもつが,更なる低抵抗果が必要である. (2)メカニカルアロイング法によるp型Ca系IV族化合物の作製と評価 メカニカルアロイング法により作製したp型CaシリサイドのXRDスペクトルをSpring-8にて測定した.また示差熱・熱重量測定,赤外領域透過及び反射測定,ラマン分光,走査透過型電子顕微鏡観察,XPS測定により評価した.以上より得られたCaシリサイドは,斜方晶(orthorhombic)Ca_2Siに認められない透過領域が320cm^<-1>付近にあること.斜方晶(orthorhombic)Ca_2SiやCaOよりもバインディングエネルギーが大きいこと.斜方晶(orthorhombic)Ca_2Siで現れる300℃付近からの質量増加が見られない,など安定相Ca_2Siとは異なった諸物性をもつことが分かった. (3)第一原理計算によるバンド構造、電気特性、熱電特性の理論的考察 メカニカルアロイング法により作製したCaシリサイドのバンド構造を第一原理計算により考察したところ結晶は金属的となった.これは電気特性の実験結果とは一致せず今後より詳細な検討が必要である.一方,斜方晶(orthorhombic)Ca_2Siでは比較的高いゼーベック係数が第一原理計算によるバンド構造から得られた. またCa系,Mg系以外のIV族化合物の生成も行い,Feシリサイドの熔融塩法による伝導制御,二次元低温相h-MoSi_2の作製など進展があった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで未知であった結晶構造がキュービックと考えられるCaシリサイド相の諸物性を明らかにした。安定相Ca_2Siとは大きく異なる物性を有している事が明らかとなり,その変化にも興味がもたれる.また斜方晶(orthorhombic)Ca_2Si相の僅かではあるが低抵抗化の効果が見られている.またCa系,Mg系以外のIV族化合物の生成も行い,Feシリサイドの熔融塩法による伝導制御,二次元低温相h-MoSi_2の作製その他など進展があった.
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Strategy for Future Research Activity |
Caシリサイド準安定相の諸物性の探求,斜方晶(orthorhombic)Ca_2Si相の低抵抗化と着実に効果が現れてきている.今年度はカルシウムシリサイド相作製の原料としてCa,Si元素の他CaSi_2等の化合物も検討する,またZn,Sr,Fe,Mn,Cu,Ag等を添加し混晶化,或いは不純物添加することで抵抗の低減を試みる.さらにMg_2Siを作製し熱電素子の試作を予定しているが,Mg_2Si作製の際に予めナノ構造化されたシリコンを用いMg_2Siナノワイヤ束を作製し効率の改善を目指す.他にCa系,Mg系以外のIV族化合物に属する材料の準安定相,新規構造の作製及び評価を行う.材料の候補としてはVI族金属シリサイドが挙げられるがそれにこだわる事なく検討を行う.作製したCa系化合物及び新規構造を有するIV族化合物のゼーベック係数、比抵抗を評価する.
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Research Products
(24 results)