2011 Fiscal Year Annual Research Report
スピントランジスタ構造へのハーフメタルグラニュラーの適用の試み
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22560308
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Research Institution | Daido University |
Principal Investigator |
神保 睦子 大同大学, 工学部, 教授 (00115677)
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Keywords | スピントランジスタ / グラニュラー膜 / ハーフメタル / トンネル伝導 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
スピン分極率が100%と予測されるハーフメタルの第1候補として,CoFeAlSiホイスラー合金を,絶縁材料としてはAlOxを取り上げ,グラニュラー膜を作製しそのTMR特性を評価した。その結果,室温で約18%のMR比を得ることができ,これはCoFeAlSiホイスラー合金の高いスピン分極率を反映していると考えられる。そこで,この結果をJ.J.A.P.に投稿し,採録された。また,大きなMR比が得られる条件として,特定のガラス基板を使わなければならず,ガラス基板の表面状態に強く依存していることが分かったために,再現性を中心にガラス基板の表面状態等を調べた。 また,絶縁材料として,MgOやMgF_2の可能性を検討するために,強磁性金属をCoFeAlSiに加えてFeCo,FeCoBとしたグラニュラー薄膜を作製し,結果を比較検討した。MgOを用いた場合には2%程度のMR比しか得られず,グラニュラー粒子のFeの表面が酸化されていることが分かった。MgF_2を使用した場合には,MgOよりもグラニュラー粒子のFeに対する影響が小さく,10%程度のMR比が得られ,この違いは絶縁材料の生成熱の違いによると考えられた。今年度は,スピントランジスタ構造で用いるためのSi基板でも再現良く大きなMR比が得られる条件を明確にし,スピントランジスタ構造を作製する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
強磁性金属を内包したグラニュラー薄膜のMR比としては最高の値が得られたが,特定のガラス基板を使用しなければ再現しないことが分かるまで,時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
23年度で大きなMR比が得られる条件がある程度解明できた。そこで,より再現性をよくするために試料の膜構造と基板表面ラフネスの関係を詳細に検討し,作製条件を明確にする。さらに,大きなMR比が得られている試料はガラス基板上に作製したもので,将来の素子化のためにはSi基板上での作製が必要である。そこで,Si基板上で大きなMR比が得られる条件を検討し,スピントランジスタ構造を作製し,データを解析する。
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Research Products
(4 results)