2011 Fiscal Year Annual Research Report
AlGaN/GaNヘテロ接合界面のバンド構造解析と高品質化
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22560309
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
中野 由崇 中部大学, 総合工学研究所, 准教授 (60394722)
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Keywords | AlGaN/GaNヘテロ構造 / 欠陥準位 / 残留炭素 / MOCVD結晶成長 / フォトキャパシタンス / DLOS / 電流コラプス / イエローバンド |
Research Abstract |
ヘテロ接合界面の2次元電子ガスを用いたAIGaNIGaN高移動度トランジスタ(HEMT)は電力損失の大幅な低減と高温動作が期待できる高耐圧・高出力パワーデバイスとして有望であるが、ヘテロ界面近傍に存在する欠陥準位の存在によりスイッチング特性が不安定となる問題(電流コラプス)に直面している。前年度は、MOCVD結晶成長に不可避な残留不純物である炭素量が多いほど、炭素取り込みに関係する欠陥準位密度が多くなり、電流コラプスが起こりやすいことを見出した。本年度は、MOCVD結晶成長条件である成長温度とIII/V比をパラメータとして「GaNバッファ層」に取り込まれる炭素量を変えることで炭素取り込み関連の欠陥準位の生成挙動をフォトルミネッセンス測定,光容量-電圧(photoC-V)測定,Deep-Level Optical Spectroscopy (DLOS)測定から多角的に検討した。GaNバッファ層の成長温度が高いほど、また、III-V比が低いほど、GaNバッファ層での炭素取り込み量は低減し、それに伴い伝導帯下~2.07,~2.80,~3.23eVに位置する3つの炭素取り込み関連の欠陥準位(Ga空孔,Ga空孔-Cアクセプター,Cアクセプター)密度が少なくなることを定量的に明らかにし、電流コラプス現象の低減に対してAlGaN/GaNウエハの高品質化のための結晶成長指針を抽出した。特に、成長温度は残留炭素濃度や関連欠陥準位密度をコントロールするのに有効であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
残留炭素濃度をパラメータとしたAlGaN/GaNヘテロ構造の結晶成長が連携研究者のアドバイスにより当初の計画以上に進んだ。したがって、AlGaN/GaN構造における電流コラプスと欠陥準位の相関を、GaNバッファ層の残留炭素濃度の観点から、MOCVD結晶成長の成長温度とIII/V比をパラメータとして系統的に検討し、高品質化のための結晶成長指針をある程度迅速に抽出できた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、既に作製・評価したNi/AlGaN/GaNショットキーダイオードを用いて、3つの炭素取り込み関連の欠陥準位(Ga空孔,Ga空孔-Cアクセプター,Cアクセプター)のどの欠陥準位が電流コラプス現象に直接的に影響するのかを調査する予定である。そのためには、3つの欠陥準位を切り分けながら電流コラプス現象を検討する必要があり、現在、具体的な方法を考案中である。仮に、上手くいかなかった場合、研究計画を大きく変えて、長時間の電圧ストレス試験を行い、欠陥準位の挙動を残留炭素濃度の観点から調査する予定である。
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Research Products
(6 results)