2011 Fiscal Year Annual Research Report
連続成膜法による次世代CIGS系薄膜太陽電池の高効率化に関する研究
Project/Area Number |
22560314
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
山口 利幸 和歌山工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (60191235)
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Keywords | 薄膜太陽電池 / カルコパイライト型 / 三元化合物 / 連続成膜法 |
Research Abstract |
本研究では、従来のシリコン系太陽電池だけでは賄いきれない需要に対処するため、次世代のCu(In,Ga)Se_2(CIGS)系薄膜太陽電の開発を目指す。我々が開発した三元化合物からの連続成膜法を用いて、1.0~2.4eVのバンドギャップ領域の次世代CIGS系薄膜太陽電池の高効率化を目的として実施する。単接合型や多接合型太陽電池への応用を実現するためには、色々なバンドギャップを有する薄膜材料が必要である。一方、バンドギャップの調整のみで高効率な太陽電池が作製できるわけではない。太陽電池グレードのCIGS系薄膜を作製することが重要である。低い開放電圧や曲線因子は重要な改善点の一つである。そのため、適度なバンドギャップを有するCIGS系薄膜ごとに成膜条件を検討するとともに、太陽電池を作製し、その性能との関係を明確にする。3年計画の2年目は以下の知見を得た。 (1)連続成膜法によるCu(In,Ga)Se_2系薄膜へのNa添加効果と太陽電池の作製 CuGaSe_2およびCuInSe_2化合物を蒸着材料に用いて、Mo/ソーダライムガラス基板上に、Na_2Se添加量の異なるCu(In,Ga)(S,Se)_2薄膜及び太陽電池を作製した。その結果、Na_2Seを添加することによって、開放電圧が増加した。 (2)Cu(In,Ga)Se_2系薄膜の大粒径化と太陽電池の作製 Mo/ソーダライムガラス基板上に、CuGaSe_2、CuInSe_2とCuを同時蒸着する連続成膜法によりCu(In,Ga)(S,Se)_2薄膜及び太陽電池を作製した。その結果、Cu供給量が増加するにつれて結晶粒が増大し、Cuを少量添加することで短絡電流が増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
太陽電池の変換効率は研究開始当初より向上しているので一定の成果は得られているが、より一層の効率向上を図りたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
高効率なCu(In,Ga)Se_2系薄膜太陽電池(Ga 混晶比0.3)は深さ方向にバンドギャップの値が変化するダブルグレイデッド構造を有しているが、Ga混晶比が大きくなると結晶粒が小さくなる課題だけでなく、本研究の結果、ダブルグレイデッド構造が深くなりすぎることも問題点であることが明らかになった。結晶粒の増大について対応策が見い出せてきているので、NaやCu添加の相乗効果を検討していくことが推進方策の一つである。さらに、ダブルグレイデッド構造が深すぎる問題点については、Gaの拡散に影響する成膜時の基板温度の適正化を検討することが必要であると考えられる。
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Research Products
(11 results)