2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22560315
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Research Institution | Nagoya Industrial Science Research Institute |
Principal Investigator |
綱島 滋 財団法人名古屋産業科学研究所, 研究部, 上席研究員 (80023323)
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Keywords | 磁気ランダムアクセスメモリ / 磁気トンネル接合 / 熱アシスト磁化反転 / 希土類-遷移金属 / TbFe |
Research Abstract |
希土類-遷移金属(RE-TM)膜をメモリー層とした垂直磁化型のTbFe/CoFeB/Al-O/[Co/Pd]_6磁気トンネル接合を作成し,その磁気抵抗(MR)特性および障壁へ印可した電流パルスにより発生するジュール熱を用いた熱アシスト磁化反転を確認した.Al-O層厚0.8mmのMTJ素子(素子サイズ20μm x 20μm)では低バイアス(40mV)で面積抵抗6 kΩμm^2程度,MR比10%,TbFe層の保磁力4kOe程度が得られた.一方,高バイアス(350mV)では,障壁への通電により発生するジュール熱によりTbFe層の保磁力が2kOe程度まで減少した.磁界中で電流パルスを印可後の抵抗値から,熱アシスト磁化反転に必要な電力密度の外部磁界依存性を測定した.磁化反転に必要な電力密度は,磁界の減少に伴い単調に増加し,100Oe程度の磁界では80μW/μm^2と見積もられた.これより,TbFe膜をメモリー層として用いたMTJ素子では低電力での熱アシスト磁化反転が可能であるという結論を得た.1μm x 1μmの素子では20μm x 20μmのものに比べ,室温でのTbFe層の保磁力自体が減少している.これはEBリソグラフィとフォトリソグラフィのプロセス温度の差(EBリソグラフィ170℃,フォトリソグラフィ110℃)により,TbFe層が変質したためと考えられる.以上のように,TbFe層をメモリ層とする微小MTJ素子の加工を試みたが,加工プロセス中の加熱により,TbFe層の磁気特性およびAl-O層の電気特性が変化することがわかり,微細加工工程のさらなる検討が必要であることがわかった.
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