2010 Fiscal Year Annual Research Report
フェリ磁性積層構造を利用した高密度ナノワイヤメモリの基礎研究
Project/Area Number |
22560318
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 龍二 茨城大学, 工学部, 教授 (20292477)
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Keywords | 磁気メモリ / ナノワイヤ / スピントランスファートルク / 磁壁移動 |
Research Abstract |
本研究では,スピントランスファートルク効果を利用したナノワイヤメモリを実現するため,適切な材料,組成及び素子の具体的な構造を検討し,従来の実験報告よりも低電流で磁壁を駆動し,かつ,従来未検討であった高密度のナノワイヤメモリの基本構造を提案することを目的とする.低電流動作高密度ナノワイヤメモリを実現するためには,1.磁壁間相互作用の低減による高密度安定動作,2.短ビットでも安定に記録を保持するための構造上の工夫,が必要である.本研究では,低飽和磁化かつ垂直磁気異方性を有する希土類-遷移金属(RE-TM)フェリ磁性体に着目し,磁壁間相互作用の低減を図った.RE-TMは希土類添加量に応じて,飽和磁化・キュリー点・磁気異方性を変化させることが出来る.今年度は,特にGd-Co合金における各物性値の組成依存性を中心に材料検討を行った.各物性値が電流誘起磁壁に及ぼす影響をマイクロマグネティックスにより調べた結果,室温において従来材料よりも一桁低い電流密度で磁壁が駆動できる可能性を示唆した.閾値電流密度の低減は主に困難軸異方性磁場の低減によるものであり,磁壁幅の減少は必ずしも閾値電流低減に寄与しないことを詳細な磁壁エネルギー解析から明らかにした.また,磁性材料の各物性値と閾値電流密度の全体像を明らかにし,閾値電流を低減するためには飽和磁化低減が最も効果的であることを示した.シミュレーション結果を指針として,具体的な材料検討に着手したところである.
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