2011 Fiscal Year Annual Research Report
フェリ磁性積層構造を利用した高密度ナノワイヤメモリの基礎研究
Project/Area Number |
22560318
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小峰 啓史 茨城大学, 工学部, 准教授 (90361287)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉田 龍二 茨城大学, 工学部, 教授 (20292477)
|
Keywords | 電流誘起磁壁移動 / ナノワイヤ / 高密度化 / 積層構造 |
Research Abstract |
今年度は、電流誘起磁壁移動における閾値電流の低電流化に関する材料検討を主に行った。磁性体の飽和磁化、交換スティフネス定数、磁気異方性定数を系統的に変えて、電流誘起磁壁移動のマイクロマグネティックシミュレーションを行った。当初、交換スティフネス定数、磁気異方性定数は磁壁幅を変えるため、閾値電流を大きく変えると予想していたが、ナノワイヤの寸法によってほとんど影響しないことがわかった。閾値電流密度の飽和磁化依存性を調べたところ、桁違いに閾値電流密度を低減出来ることを明らかにした。スピン分極率も勘案して、垂直磁気異方性を維持しつつ、閾値電流密度を桁違いに低減する材料として、補償組成付近のフェリ磁性体が最適材料であることを明らかにした。 フェリ磁性体を用いた場合の磁壁ピン止め効果についても考察した。磁壁ピン止めとして、エッジラフネス及び物性値の分散を想定して、計算機シミュレーションを行ったところ、実験で実現しうるエッジラフネス及び物性値の分散があったとしても、フェリ磁性体を用いれば、閾値電流を低減できることを明らかにした。これらを受けて、希士類-遷移金属フェリ磁性体の作製検討を始め、垂直磁化膜を得るための成膜条件を決定した。 材料選択及び高密度化のための自由度を広げるため、積層構造ナノワイヤの基礎特性についても検討した。積層構造ナノワイヤは電流誘起磁壁移動によってデータを転送する連続膜、及び、ビットを安定化するためのグラニュラー層によって、構成される。二層間には、交換相互作用及び静磁気相互作用が働き、従来構造に比べてビットの短縮化が可能であることを示した。また、層間相互作用により、磁壁幅、閾値電流密度の他に特殊な磁壁移動様式が存在することを明らかにし、積層構造ナノワイヤに関する基本設計方針を明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画とおり進展しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の推進方策に基づき進める。
|