2011 Fiscal Year Annual Research Report
高効率・低ひずみ超高周波カスコード電力増幅器に関する研究
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22560321
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
高山 洋一郎 電気通信大学, 先端ワイヤレスコミュニケーション研究センター, 客員教授 (90336826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本城 和彦 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 教授 (90334573)
石川 亮 電気通信大学, 大学院・情報理工学研究科, 助教 (30333892)
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Keywords | 超高周波 / 電子回路 / 電力増幅器 / カスコード回路 |
Research Abstract |
超高周波増幅器の高利得化・広帯域化,超高周波電力増幅器の高出力化などの回路手法として注目されているカスコード回路について,従来構成に比べて,設計の自由度を広げることにより庵力効率の向上及びひずみ低減が期待できる独立バイアス形カスコード電力増幅器を提案して,昨年度に引き続き,本年度は以下の研究を行った. 1.H22年度の結果を踏まえて,集中定数素子を用いて1.9GHz帯GaN HEMT独立バイアス形カスコード電力増幅器を設計試作.し,飽和出力30.8dBm,最大付加電力効率(PAE)65.5%,三次相互変調ひずみ(IMD3)<-33.7dBcの条件において最大出力26.3dBm及びPAE39.7%の優れた特性を達成した. 2.InGaP/GaAs HBTによる1.9GHz帯カスコード増幅器MMICの設計及びファウンドリ製作を行い,測定評価を行った.回路の大型化を避けるために集中定数素子によるインピーダンス整合回路を用いた結果,回路損失が大きくなり,良好な特性を得ることができなかった. 3.回路損失の増加を避けるため,HBTカスコード回路部のみをMMIC化してインピーダンス整合回路を集中定数部品により構成するハイブリッド形回路の1.9GHzカスコード増幅器を設計・製作し,増幅特性の測定評価を行った.その結果,出力電力14.8dBmにおいて最大付加電力効率68%を得た.また,IMD3<-35dBcのひずみ条件において最大出力電力10.25dBmを実現した. 4.H22年度の結果と比較して,カスコード回路の構成トランジスタがHBTとFETでは前段と後段の特性への寄与が異なることが明らかになったので,GaAs HEMTの独立バイアス形カスコード増幅器MMICを設計し,ファウンドリ製作中であり,次年度に測定評価及び比較検討を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画のHBTカスコード増幅器MMICは回路損失が大きく十分な特性が得られなかったが,HBTカスコード回路部のMMICに集中定数インピーダンス整合回路を付加して構成した小型ハイブリッド形カスコード増幅器を設計・製作し,良好な特性を実現した.
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Strategy for Future Research Activity |
独立バイアス形カスコード電力増幅器の効果的な応用を考えると,個別部品によるハイブリッド回路構成とともにMMIC化も有力な手法である.このため,HBTに比べて比較的振る舞いが単純なGaAs HEMTによる提案増幅器の実現を検討しており,MMICの基本的な設計を終えてファウンドリ試作を進めている.H24年度は本MMICの測定評価を行う.なお,MMICは回路損失が大きく特性の劣化は避けられないので,カスコード構成部はMMICを用いてインピーダンス整合回路をキャパシタ及びインダクタの個別部品を用いるハイブリッド構成の増幅器についても比較検討する予定である.
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